はがき随筆・鹿児島

はがき随筆ブログにようこそ!毎日新聞西部本社の各地方版に毎朝掲載される
「はがき随筆」は252文字のミニエッセイです。

千代美と遼太郎

2007-12-07 16:10:22 | はがき随筆
 15歳を過ぎた老猫千代美は体重5㌔。走ることはほとんどない。一方この春、倒(こ)けつ転(まろ)びつ付いてきて我が家に住み着いた由緒不明の名犬遼太郎は10㌔になった。静と動、対照的な2匹だが、まれに鼻先をなめあっている時など、私たちをどれほど和ませてくれたことか。だが気になるのは千代美で、寄る年波からか猛暑の今夏は食が止まり木陰で動かない。日に日にやせて獣医の注射でも食欲は出ない。そんな千代美をひざに抱きペーストを口に運ぶ妻。食べたと言って手をたたき、自力で食べるまでになった。季節は移り、2人と2匹の平穏な日々である。
   志布志市 若宮庸成(68) 2007/12/7 毎日新聞鹿児島版掲載

ブルーの海

2007-12-07 16:01:58 | はがき随筆
 ブルーサファイアの海は美しい。ローラーカナリアは鳴き、手乗り文鳥が肩へ。美しい花があふれ皆が呼ぶ。少女のころの身軽さで泳ぐ。突然、愛犬チェスが激しくほえ、来るなと拒否?
 「Aさん、良かったー」
 ベッドの左上のブザーが、ブルーの光を点滅させて、心臓の状態をセンターに送っていた。うとうと眠った。夜中の2時過ぎらしい。
 翌日の手術は、予定より3時間早く行われた。医師の他、多くの人々に救われ私は生きている。深く感謝している。不自由な体でも楽しく有意義に過ごそうと、縮小プランを立てている。
   薩摩川内市 上野昭子(79) 2007/12/6 毎日新聞鹿児島版掲載