はがき随筆・鹿児島

はがき随筆ブログにようこそ!毎日新聞西部本社の各地方版に毎朝掲載される
「はがき随筆」は252文字のミニエッセイです。

音読への挑戦

2007-12-17 18:09:58 | はがき随筆
 以前より音読を心がけていたけれど、毎日ペンクラブで講師の二見さんの「音読の効用」を拝聴し、背中をポンと押していただいた心境になった。
 ひざ痛で毎朝、浴室で足湯をする。この30分間の音読は声も響き素晴らしいと自画自賛している。2階の部屋に移り、音読にゆっくり集中できるのも楽しい発見だ。初日は窓を開けて少し声量を高くし啄木詩集を読む。向こうの屋根でスズメ3羽不思議そうに聞いていた。
 前頭前野も活動を盛んにする音読を、新しい習慣の出発にしたい。習慣はすぐに舞い戻るが継続、継続を声にして。
   鹿屋市 小幡晋一郎(75) 2007/12/17 毎日新聞鹿児島版掲載

骨休めの日

2007-12-17 18:01:48 | はがき随筆
 福祉バスに乗って月に3回ほど溝辺の温泉センターに行く。お弁当持参で。私たちのグループは現在7人。今日は他のグループの人たちが休みで一般客もなぜか少なく、バスも湯も貸し切りのような特別な日だった。
 毎日の畑仕事、庭木のせん定や雑用などで疲れ気味の身体の骨休めに、今ではこの温泉の日が待たれる。昼食をはさんで2回ゆっくりとつかる。世間話をしながらのおやつ交換も楽しい。
 紅葉した桜とモミジが黄に赤に映えるのが温泉の窓いっぱいに見える。私は目をつぶって「きれいねえ」と亡き夫に語りかけていた。
   霧島市 秋峯いくよ(67) 2007/12/16 毎日新聞鹿児島版掲載

不景気な顔

2007-12-17 17:33:35 | はがき随筆
 畑や庭先にツワブキの花が満開だ。大好きなので私の機嫌はすこぶるいい。
 そんなある深夜の2時、母がせき込んでいる(寒いなあ、眠いなあ。だけど行ってみなければ……)。
 「お母さん、せき止めの薬を飲んで」「あら、由井ちゃん。ありがとう。でも何という不景気な顔をしているの」
 私は驚いて洗面所に行き、鏡をのぞき込んだ。
 つり上がった目、みけんに刻まれた深い縦じわ、髪は逆立ち見られたものではない。こんな姿では、いくら優しい言葉をかけられても嫌だろうなあ。
   阿久根市 別枝由井(65) 2007/12/15 毎日新聞鹿児島版掲載

さんま会

2007-12-17 17:30:19 | はがき随筆
 今年も「さんま会」を開いた。将来の仲間作りのきっかけにでもなれば、との思いも込めて6年前、数家族に声をかけたのが始まりだ。
 サンマに脂が乗り、地元産の和風レモンが収穫されるころ、焼きたてのサンマにジューシーな和風レモンをたっぷりかけて、甘みを増した大根おろしといただく。
 「さんま会」がきっかけで年に数回、食事会をするようになった。
 仕事を引退後は時間に追われることなく、遊び心も忘れず年を重ねるのも悪くないなと思えるように……。
   垂水市 竹之内政子(57) 2007/12/14 毎日新聞鹿児島版掲載