はがき随筆・鹿児島

はがき随筆ブログにようこそ!毎日新聞西部本社の各地方版に毎朝掲載される
「はがき随筆」は252文字のミニエッセイです。

有り難きふる里

2007-12-19 19:10:42 | はがき随筆
 鹿児島の温泉は、あの西郷隆盛、坂本龍馬など時の実力者や多くの人々の体と心を癒してきた。現在、銭湯と呼ばれる市内の公衆浴場の多くは温泉。その数は60ヵ所に及び、県庁所在地ではずばぬけて多いと聞く。
 その一つである近くの温泉浴場。今は懐かしい番台さんに迎えられ、湯煙の立つ湯船に身を沈めると、一日の疲れが湯気と消えていく。入浴客の楽しい会話が響く。体を流し合い、上がれば温泉の効能が全身に染み渡り、ポカポカと温かい。持ち帰った天然水をゴクンと1杯。冷水がうまい。何と恵まれたふる里なのだろう!
   鹿児島市 鵜家育男(62) 2007/12/19 毎日新聞鹿児島版掲載