琵琶湖南部の大津市、草津市、栗東市にまたがる金勝アルプスは、標高600mに満たない低山の連なりだが、荒々しい花崗岩の巨石が山肌に露出するアルプスの名に恥じない風貌の山である。また、山中には磨崖仏や寺院跡が多く、古くはこの地に仏教文化が栄えたことを伝えている。素晴らしい秋晴れの一日、新しい山仲間と一緒にこの山に向かった。

猪花さんの車に同乗させて貰って、新名神・草津田上IC近くで丸屋ご夫妻と合流、上桐生キャンプ場の広い駐車場に車を置く。丸屋さん宅からは自転車でも10分という近さでベランダから山容がよく見えるが、こちらへ来られて間がないので初めての山だそうだ。猪花さんも湖南アルプスなどには登っているが、金勝は初めてで、先日この駐車場まで下見がてら走って下さっている。私たちも前に6度歩いてはいるが、前に来たのは2004年で8年前のこと。懐かしい山がどんな表情で迎えてくれるか楽しみだ。(08:45出発)

駐車場をでて数分、左右に池を見て北谷林道を歩く。指導標に従って右に折れると、ミツバチの箱や古い小屋など見覚えのある草地を抜ける。自然林の山道は次第に傾斜を増して、新しい林道に飛び出した。しばらく迷ったが右に行くと標識があり、これも見覚えのある分岐に来た。沢の左岸を登って落ヶ滝に着く(09:20)。滝は落差80mほどあるが、いつも水量が少な目で少し迫力に欠ける。それでも何段にも積み重なった巨岩の間を落ちる姿は実に見事だ。

分岐に帰り別の沢に沿って緩く登る。いったん広い河原に出て次に沢筋に入ると、大石にペンキ印があったり、ロープの下がっている大きなスラブ状の岩を登ったり変化に富んだ道になる。ようやく前にもこの大岩を登ったことを思い出した。天気が良すぎるのか、寝不足が祟ったのか、汗がだらだら流れて無性に喉が渇いて調子が出ない。

それでも沢歩きが終わると林の中の急坂の登りは短く、しばらく頑張ると北峰縦走路に出た(10:05)。木陰の小広場にひんやりした空気が流れている。初めて腰を下して休んだ後、鶏冠山へ向かう。尾根上の道は木の間から右手に三上山、竜王トレーニングセンターやMIHOミュージアムなどを見下し、かなり急傾斜な悪場も交えながらピークを二つ越える。最後に短い急登をこなして鶏冠山頂上(490.9m)に立つ。林に囲まれ無展望なので、三角点で記念写真を撮って引き返す。(10:45~52)


いったん下ってジメジメした沢状の所を渡って稜線へ登り返すと天狗岩の真下に出た(12:15)。涼しい木陰にベンチがあり、昼食にいい時間と場所だが「先に岩に登ってみよう」と衆議一決。ザックを置いて左側のルンゼ状になった所から取り付く。短い鉄の橋を渡って岩の上に立つ。琵琶湖を中心にして湖北、湖東の山々を一望にする胸のすく展望が広がった。鶏冠山は目の前、牟礼山の下に丸屋さんのお家の屋根も見えたようだ。左手の新名神道路が始めてみる景観だ。地元・草津から年に何回もくるという方に記念写真のシャッターを押して貰う。他に赤いシャツの青年が二人、真昼の陽射しを浴びながらお握りを食べていた。

私たちも岩を降りてランチタイム。(~12:55)