ペンギン夫婦の山と旅

住み慣れた大和「氷」山の日常から、時には海外まで飛び出すペンギン夫婦の山と旅の日記です

春日大社新発見と若宮十五社巡拝(5)

2015-07-01 11:30:33 | 奈良散歩

若宮十五社巡拝を終えましたが、この日(6月27日)の「新発見」は、まだ終わりではありませんでした。



ご本殿の方へ帰ると、本殿北西側に桂昌殿があります。寄進者の徳川綱吉の母・桂昌院の名で呼ばれますが、天下国家の安泰を祈る祈祷殿です。



その前にあるこの建物は春日大社関係者の祖先の霊を祭る、いわば葬祭場です。同じような仏教系の建物が出雲大社にもあったことを思い出しました。



その左手に「天の原ふりさけ見れば春日なる…」の阿倍仲麻呂望郷の石碑が立っています。遣唐留学生として吉備真備とともに唐に渡る前に壮行の儀式が行われた場所でした。



北の若草山の方に広い道を行くと、私たちに欠かせない衣食住のうち「住い」を司る総宮神社。
平安時代の創建で明治維新までは興福寺境内にありました。



続いて、これも興福寺から移された一言主神社。ここへは何度かお参りしたことがあります。
今日も願いを一つ叶えて頂こうと、たくさんの絵馬が置かれていました。小さな鳥居は願いが叶った人がお礼に収めたものです。

燈籠の並ぶ道の両側に、たくさんの鹿たちが群れていました。今年生まれたばかりと思われる小鹿が母鹿にお乳をねだる微笑ましい光景を見ながら、



水谷(みずや)神社に来ました。水谷川に沿うこの摂社は平安から明治までの神仏習合時代は祇園精舎の守り神、医薬の神様でした。現在はスサノオノミコト他ニ神をお祭りしています。



このお社の床下に、先程ご本殿で拝観した磐座と同じ様な磐座が置かれています。ご本殿は撮影禁止でしたのでこちらでご想像ください。

赤い橋を渡り、広い交差点に出ました。真っ直ぐ行くと手向山八幡宮から二月堂への道ですが、右に折れて若草山と御蓋山の間になる道を歩きます。春日遊歩道の標識を見て、緩い登りながら汗ばんで来る頃、右手の沢に降りて「仏塔石」に出会いました。



増田さんのお話では仏塔石は室町中期のもので、六角柱のそれぞれに観音様と狛犬が刻まれています。手前にある平べったい石は「洞の地蔵」で、よく見ると地蔵さんが線刻されています。残念ながら谷間のことで薄暗く、いい写真が撮れませんでした。

さらに上へ歩くと御手洗川の源流に近くなります。緑に苔蒸した岩は「日月磐」で日輪と月が刻まれています。

対岸の少し上には苔むした石燈籠と、池の跡とも思われる窪地がありました。

今日のイベントのフィーナーレを飾る静かな春日奥山に夕暮れが迫ります。
急いで元の道を下り、山あいを抜けると下界はまだ明るく、そぞろ歩きの観光客が行き交っていました。
今日一日、春日神社やその周辺について、数多くの新しいことを教わりました。これからの春日神社参拝や周辺の散策が、より一層充実したものになることに違いありません。
準備の段階から、当日のご案内、解説まで心を砕いてお世話下さった熊木さん・増田さん・金田さんに深くお礼申し上げます。
ありがとうございました。


春日大社新発見と若宮十五社巡拝(4)

2015-07-01 10:14:08 | 奈良散歩

春日大社南門を出たところに、回りを低い柵で囲まれた石があります。殆どの人は気付かずに通り過ぎるようですが、宝亀三年の雷火で焼け落ちた南門の額を埋納した後に石を置いたところから「額塚」と呼ばれる、由緒のあるところです。

他にも、神様の依代として祀られた磐座、あるいは赤童子(若宮御祭神)の出現石などの説があります。

南門から若宮神社の間の道は「御間道(おあいみち)」と呼ばれて、古来、数え切れぬほどの神官が往来した道です。道には御間型燈籠が並んでいます。本宮神社遥拝所で浮雲峰山頂の本社を拝みます。

夫婦大黒社は我が国唯一の夫婦の大黒様を祀る神社で、平安時代に出雲大社の神霊をお迎えして夫婦二体の大黒様をお祀りしたことに始まります。
夫婦和合や良縁を願うハート形の願い札がずらりと並んでいますが、近頃目立つのが英語、中国語、ハングル文字…。    

受付で玉串札の入った布袋を授かり、十五社巡りに出発します。(写真は上下とも若宮神社)

春日大社には摂社・末社が61社ありますが、そのうち若宮神社周辺15社を巡拝して様々な願い事をします。
第一番収札所は若宮神社。

若宮本殿横のナギの木に巻き付いている「八房藤」。記録から樹齢は500年を越えていると推定されるそうです。

写真の2~3番、そして4番の3社は少し引き返したところにあります。

5番から南東の11番紀伊神社に続く緩い坂道は奥ノ院道と呼ばれます。

この辺りの山(東)側一帯はナギの原生林で、国の天然記念物に指定されています。

9番納札所・春日明神遥拝所は社殿はなく磐座が鎮っています。



最奥の紀伊神社から御間道を引き返す形で、

伊勢神宮と元春日枚岡神社遥拝所を拝み



14番の金龍神社へ参拝。

最後は夫婦大黒社の拝所へ上がって大黒様に十五社満願の報告をしてお札を収め、袋をお返しして御徴(記念品)を授かりました。
これで若宮十五社巡拝は終わりましたが、今日の「新発見」の行動はまだ続きます。