私の動物記(4)
久し振りにわが家の一員に犬が加わったのは、1991(平成3)年12月。近所のY夫人の父君が病気で石川県から預かったが、すでにY家には犬がいたので無償で譲って貰うことになった。
血統書付きの柴犬の雌「美鈴(ミレー)」である。非常に利口ですぐに私たちになついた。
美鈴は最初おとなしくしていたが、次第にお転婆ぶりを発揮しだした。夜の散歩は私とするのが好きで、和子(家内)が連れていってもすぐ帰ってしまう。車が嫌いな上に病院の雰囲気で興奮するので、動物病院に行くのに少し手こずった。
次の年になると、夜の散歩で頭に蛍を留まらせてピカピカ光らせながら帰ったこともあった。7月10日は7歳の誕生日でローストビーフとフランスパンでお祝いをしてやる。もうすっかり家族の一員である。山に行くのに三日間、Y家へ里帰りさして帰ると、淋しかったのか興奮してなかなか眠らず夜、3回も散歩する。風呂場の石鹸や、首輪を齧って嘔吐したこともあった。しかし言葉をよく聞き分けて、叱られると首をすくめてシュンとなるのがいじらしい。
1993年の冬は厳しかった。朝、散歩を兼ねてバス停まで見送りに来た美鈴は白犬に変身した。この頃はシャンプーをしてやるのも私の仕事。次の年の2月も全国的な大雪。家の近くでも約10cmの積雪があり、美鈴は大喜びで走り回った。