時遊人~La liberte de l'esprit~

優游涵泳 不羈奔放 by椋柊

イノセント・ゲリラの祝祭 7・8

2010-01-16 | 読書
あと少し…
桜宮警察署捜査一課所属・警部補・玉村誠は
久方ぶりに心晴々
安らかで平穏な日常に身を委ねられると
信じていた

土砂降りの雨の中
パトカーに言い寄る老婆を見かけるまでは…

コードネーム?
電子猟犬(デジタル・ハウンドドッグ)の異名を持つ
警視正・加納達也の嗅覚?恐るべき感により
宗教団体「神々の楽園」の信者リンチ死事件が発覚!
警察の初動捜査ミスの問題を含めるという
センセーショナルな事件が世間をにぎわせていた頃

グッチーこと
東城大学医学部付属病院神経内科学教室の講師
不定愁訴外来責任者にして
リスクマネジメント委員会委員長と
肩書に押しつぶされそうな田口公平は
東京・霞ヶ関に向かっていた

何の因果か陰謀か
「病院リスクマネジメント委員会標準化検討委員会」のモデル事業に関する会議
「医療関連死モデル事業」に出席するよう
出頭命令?出頭勧告?を受けてしまったのだ…

田口公平を
霞ヶ関で待ち受けているのは
検討会自体を有耶無耶にしようとする官僚
自分達の立場を死守せんとする司法&医学の珍獣達
それらを凌駕せんとする破壊神・彦根新吾

そして
火喰い鳥こと白鳥圭輔の…

この修羅場
魑魅魍魎が蠢く
渦中に投げ込まれた田口公平…
無事
桜宮市に帰還出来るのか?



今現在
行政・司法・医療が抱える
リアルな問題を題材にした作品
まさに
問題提起的な作品でした

新たに新設された
「医療事故調査委員会創設検討会」を舞台に
法医解剖vs医療解剖
双方の水掛論争でお茶を濁そうとする
ミスター厚生労働省こと八神直道vsロジカルモンスター&火喰い鳥こと白鳥圭輔
プラス破壊神・彦根新吾のエッセンスが加わってます

司法と医療の完全分離?
医療庁の設立?
白鳥さんは内閣府まで引っ張り出してくるし…

37章「破壊神降臨」から最終章に渡る
彦根新吾の司法と医療に関する意見については
破天荒ではあるけれど
とても納得のいくと申しますか
理想的なシステムだと思いました
現実のものとなったら
どんなに良いか…

畳み掛けるような
彦根先生の発言は圧巻です
冷静な論理で
官僚や司法&医学会の重鎮を
一刀両断していく過程は
読んでいて気持ちがいい!

収入と支出
そのバランスは大切だけれど
それが総てではない
医療や福祉の抱える問題は
そこなんですよね
(って何処よ…)

ストーリー展開の中で
時折登場する
極北救命救急センターの医療事故ですが
ここってジェネラルルージュこと
速水晃一先生がいるんですよね~
『イノセント・ゲリラの祝祭』最終章では
彦根新吾と檜山シオンが極北に行くような雰囲気でした

またまた大波乱が起きそうな予感です!
速水晃一再び?

読み応えありました

むさぼる様に
海堂作品読んでおります
目薬差しながら
さらに読み続ける自分が怖い…

気が付けば朝
気が付けば夕方
そしてまた朝が…