時遊人~La liberte de l'esprit~

優游涵泳 不羈奔放 by椋柊

春琴抄 137

2010-12-31 | 読書
今年は
太宰治の
「人間失格」に始まり
谷崎潤一郎の
「春琴抄」が読み収めになりました

1933年(昭和8年)
『中央公論』に発表された短編小説
文庫での初版は昭和26年1月31日とありました

明らかに
昨今の小説家の文体と異なっており
或る意味 
新鮮でした
そして斬新

この頃の作品は
殆どの漢字に仮名がふってあるんですよね

以前
美輪明宏さんが
大人だけでなく子供も読めるように配慮されていた
読書をすることによって
自然と漢字が学べるようになっていた
と言うのをふと思い出しました

句読点や改行が極力省かれていたり
言葉の言い回しや文体の流れにも特徴があり
とは言え
それが読みにくいと言う訳ではない!
むしろ
一字一句
言葉のひとつひとつを
丁寧にじっくり読み進めよう言う
意識が出て参りました

確かに読み進む速度は遅くなりますが
春琴と佐助
二人の佇む情景が
とても鮮明に浮かんだように思います

男と女の関係を結び
子まで生しておきならが
夫婦にならず
終生
師匠と弟子の立場を貫いた二人

はたから見れば
屈折した愛情と思えなくもない
共に
盲目となり
不幸のどん底に落ちるかと思いきや
そそくさと
世間を逸脱し
二人だけの世界に
埋没していく春琴と佐助
須弥山とまでは参りませんが
少なくとも
人間界の中でも
より精神性の高い次元に
身をおいているように感じられるのでありました

自己中心的な性格
その性格が災いしてか
二度までも酷い目に遭遇してしう
自業自得とも思える春琴は
明らかにサディズム的性格を備えている
一方
罵倒され虐げられても
春琴を慕い
遂には
自ら目に針を刺すと言う所業まで
なんなく行う佐助は
マゾヒズム的性格者

この二人のエピソードを
見事なまでに美しく
気高いヴェールで包み込み
昇華させてしまう文才…

恐るべし
谷崎潤一郎!

相棒-劇場版Ⅱ- 94

2010-12-31 | 映画
日本警察の要所・警視庁本部内で
前代未聞の人質籠城事件が発生

人質は
田丸警視総監
長谷川副総監を始めとした幹部12名
現場となった会議室は
機動隊と
特殊捜査班SITによって完全に包囲されるが
何の要求もないまま
いたずらに時間が過ぎていく




いち早く事件に気づいたのは
特命係の神戸尊と杉下右京
右京は
会議室内の様子を把握することが肝心と
鑑識の米沢守や
元特命係の陣川公平の協力を得て
誰も予想しなかった奇策に出る

捜査本部では
幹部たちが囚われているため
思うように進展しない事態に
捜査一課の
伊丹憲一・三浦信輔・芹沢慶二らが
苛立ちを募らせていた
そこへ
情報を入手した右京が現れ
籠城犯が
元警視庁刑事の八重樫哲也だと判明




一方
籠城前に
尊が八重樫から助け出した女性が
総務部装備課の
朝比奈圭子であることを突き止める
その時
緊迫する会議室内から2発の銃声が…
右京の強硬な反対にも関わらず
SITと機動隊員たちが会議室内に突入し
事態は終結




人質は無事に保護されるが
籠城した八重樫は死亡
大河内監察官の事情聴取に対しても
12名は言葉を曖昧にしたままで
何の証言も得られない
全員が
一様に口を閉ざすことに疑問を抱いた右京と尊は
角田課長らの協力を得て
独自に幹部たちへの聞き込みを開始する




八重樫の所持品にあった
一枚の写真
独特な刺青を腕に施した
写真の男を捜すため
上海マフィアが潜伏する
中華街へ向かった右京と尊だったが

逆に
男の仲間と疑われて
一触即発の事態…
そこに
ひとりの女が現れた

彼女の名は
李華来(リー・ファーライ)




彼女の口から
刺青を施した男が
曹良明と言う
上海マフィアの人間だと知らされる
そして
かつて右京や尊と同様に
八重樫もまた
曹良明を探しに
この街へやって来た事を知る




その頃
某料亭の一室では
警察庁幹部の小野田官房室長と
金子警察庁長官が
首席監察官・大河内春樹から
警視庁での事件の
結果報告を受けていた

それじゃ
そろそろ動きますか






徐々に明らかになってくる事実

それは7年前
八重樫や圭子が関わった
過去の大きな事件に関する衝撃の真相だった…

水面下で繰り広げられる
覇権争い
警察庁 警視庁

平和ボケ国家日本における
公安の存在意義

影の管理官…

小野田官房長との
因縁の対決!?




今年の締め作品となりました

劇場版Ⅱは

相棒season9第9話「予兆」を前説として
描かれております
敢えて映画にする必要性はないと
改めて思いましたが
邪魔なCMは入らない分
よしとしましょうかね~




何を守るために
誰を救うために
あなたは
警察官でいるんです!

真実は必ず
我々が
明らかにしてみせます!

絶対的な正義が
この世にあると思ってる?

僕の進む道を
変えるわけにはいきません!




あなたの正義を問う。



相変わらず
面白い&考えさせられる&深い!

輿水泰弘・戸田山雅司
両氏の脚本が
まぁ~お見事です
今回は
ドラマでは見れない
右京さんの仕草&ポーズも
ニクイ演出でした

及川光博演ずる神戸尊は
亀山薫に負けず劣らず
最高の相棒になってくれました
及川光博最高~



中途半端な
終わり方と言えば
終わり方です
この続きは!?
ドラマの後半あたりで
決着つけてくれるのかな?
それとも
映画と来月から始まるドラマ版って
別物と考えた方がいいのかな?
だって
あのラスト…
マズイでしょ
あの演出は
かなりチャレンジャーですよ…
いいんですか

そうそう
相棒10周年10大プレゼントの問題の答え


来年も
沢山みるぞぉ~