みかんの薫りといっても、実ではなく花である。4~5日前から近在のみかん畑で開花が始まったらしく、今夜もその辺り中、私の部屋の中まで甘い匂いが満ちあふれている。
何年か前に生産量日本一の座を和歌山に奪われたが、それでも愛媛がみかんの大産地であることに変わりはなく、うちの近くでもちょっと小高い丘の大概はみかん畑になっている。20数年前に松山に移住して来て良かったことの一つは、この季節から梅雨入りの頃まで、毎年欠かさずこの香りの氾濫を一定期間楽しめることである。
昔、田舎の裏山の何反(たん)かで栽狽オていたこともあって、子供のころからみかんだけでなく八朔(はっさく)や橙(だいだい)などの柑橘類は実に良く食べた。今日のように簡単に入手できる果物の種類が多くなかったということもある。食べ過ぎて手を黄色くしている子供たちも結構いたが、これのビタミン類が効いたにちがいない、厄介な風邪で苦しむということも比較的少なかったのではないかと思う。
ただ食べるのでは面白くないから、バラバラに崩して積み上げた房の山に、ジャンケンで勝った者が糸を通した針を投げつけて釣り上げそのまま口に運ぶ、という今時の母親たちが見ると卒唐キるような食べ方で遊んでいたこともある。まだ青かったり腐ったりしたものは合戦の格好の飛礫(つぶて)にもなった。まだ温室栽狽ネどというものが一般的ではない時代だから、みな正月を挟んだ寒い季節のことである。
ところで、極めて甘党の私は砂糖の取りすぎを恐れて、数ヶ月前から甘味の素を全て蜂蜜に切り替えてみた。朝のパン食にも蜂蜜、コーヒーにもジュースにも蜂蜜、調理の一部にも蜂蜜・・・そうすると胃腸の具合だけでなく体調がなんだかすこぶる良いような気がする。蜂蜜にも花の種類によってさまざまな風味がある。今のところレンゲが圧涛Iに多いが、そのうちみかんの花の蜂蜜を試してみようと考えている。

何年か前に生産量日本一の座を和歌山に奪われたが、それでも愛媛がみかんの大産地であることに変わりはなく、うちの近くでもちょっと小高い丘の大概はみかん畑になっている。20数年前に松山に移住して来て良かったことの一つは、この季節から梅雨入りの頃まで、毎年欠かさずこの香りの氾濫を一定期間楽しめることである。
昔、田舎の裏山の何反(たん)かで栽狽オていたこともあって、子供のころからみかんだけでなく八朔(はっさく)や橙(だいだい)などの柑橘類は実に良く食べた。今日のように簡単に入手できる果物の種類が多くなかったということもある。食べ過ぎて手を黄色くしている子供たちも結構いたが、これのビタミン類が効いたにちがいない、厄介な風邪で苦しむということも比較的少なかったのではないかと思う。
ただ食べるのでは面白くないから、バラバラに崩して積み上げた房の山に、ジャンケンで勝った者が糸を通した針を投げつけて釣り上げそのまま口に運ぶ、という今時の母親たちが見ると卒唐キるような食べ方で遊んでいたこともある。まだ青かったり腐ったりしたものは合戦の格好の飛礫(つぶて)にもなった。まだ温室栽狽ネどというものが一般的ではない時代だから、みな正月を挟んだ寒い季節のことである。
ところで、極めて甘党の私は砂糖の取りすぎを恐れて、数ヶ月前から甘味の素を全て蜂蜜に切り替えてみた。朝のパン食にも蜂蜜、コーヒーにもジュースにも蜂蜜、調理の一部にも蜂蜜・・・そうすると胃腸の具合だけでなく体調がなんだかすこぶる良いような気がする。蜂蜜にも花の種類によってさまざまな風味がある。今のところレンゲが圧涛Iに多いが、そのうちみかんの花の蜂蜜を試してみようと考えている。
