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「捨てる女」 内澤旬子

2017-06-03 | 読書

今年の四月に出た本。文章を書き、イラストを描き、デザインをする仕事の著者はたくさんの資料を買い集め、それがにっちもさっちもいかなくなる。

病気になったのをきっかけに考えが変わり、ものを捨て始める。買うのは簡単、捨てるのはどんな小さなものでも、自分の人生の歴史の一ページ、傷みが伴う。

でも捨てる。捨てて捨てて捨てまくる。考えてみれば生活に必要なものってそんなにないはず。それでも、たいていの人は家の中の空間に物をため込んでいる。

捨てるのが奨励されるようになったのはいつごろからだろうか。それもまた豊かな時代なればこそ。

捨てる前に買わない暮らし。人が何を着ていようが、何を持っていようが惑わされない生き方。できれば簡単なんだけど、できないので苦労する。この私も。

著者は捨てまくった結果、一抹の寂寥感にとらわれる。わかる。とってもよくわかる。

来週旅行に行く私。約30年前、もう二度とバッグ買わないつもりで思い切って買ったヴィトンのショルダーバッグ、あれ持って行きたくなった。

でも…もう手元にない。皮のところが茶色になったので昨年ヤフオクで5,000円で売った。なんかねぇ…あれもあってよかったかなと今になって後悔している。家の中でどれほどの場所を取るわけでもないのに。

ヴィトンのなめし皮、初めベージュ、やがて色が濃くなって古いのが丸わかり。戦略?

ものを持たずに平常心でいることも、捨てて平常心でいることもなかなかに難しい。世間は刺激に満ち満ちている。いくら年とっても、そこから自由な人は稀。

それがまあ、生きている証であったりして。


ポーランドのお土産各種。車の本、地図などは息子たちに。

種物は母に。器はお嫁ちゃんに。蓋つき木箱は従妹に。一部はまだ家にあります。 

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