市内、京橋川沿い。今年、梅雨明けのころ。そろそろ川べりのカフェのランチタイムです。
自らの生い立ち、家族のこと。そして、小学校、中学校でどんな人と出会い、何を読み、何を考えたかを、自伝としてまとめたもの。
大変に面白く読みました。
一読三嘆、優少年の知的好奇心の旺盛さと、家族、周りの大人たちの見識の高さに感銘を受けた。
両親は大金持ちというのではなく、技術系の勤め人と専業主婦。でも知識への敬意があり、子供のやりたいことには進んでお金を出す。そして子供を一人前の人間として扱い、決して生き方、意見を押し付けない。
旅行にも積極的に出す。長い休み、母親の実家の沖縄や、叔父が議員をしている関西へ一人で滞在して経験を積ませる。
中学時代の塾の先生も素晴らしい人たちばかりで、というか、著者の知的レベルが高いので、先生もそれに応える形でいい面を出してきたのだろう。
塾の国語の先生は受験勉強と並行して、古今の名作を読ませ、考えさせる。中学生で、「出発はついに訪れず」を読んだり、マルクス主義とキリスト教とどちらが正しいかと疑問を持ったりする頭のいい少年は知識をものすごいスピードで自分のものにしながら、受験勉強にも精を出し、埼玉県で最難関の浦和高校に合格し、春休みに一人で北海道へ旅行する。
送り出す親も見識があると思う。
その旅は大雪にたたられて大変だったが、40年くらい前の、若い人の北海道旅行ブームを活写していてこちらも面白かった。
で、この旅行は高一の夏休み、ソ連東欧一人旅の練習だそうで。その時の旅行記もどこかで読みたいものです。