中軽井沢セゾン美術館。2008年8月。広島は本日36℃(;'∀')
涼しい場所に行きたい今日この頃。
70歳になると日本人全員が安楽死できる法律ができた。法律の執行は二年後、70歳以上の人も2年後には同じように死ねる。。。。
そんな荒唐無稽な話からこの小説は始まる。ありえないと思ったらそれ以上には読み進められないので、ここはひとつ読んでみる。
舞台は東京都内のサラリーマン家庭。寝たきりの姑を一人で介護する東洋子は専業主婦、長男は一流大卒で大企業に勤めたが、続かなくて現在引きこもり中。長女は家を出て介護職で生活している。夫は法律ができたので、早期退職して、妻に介護を任せて三か月の世界旅行に出かけた。
小姑達は財産の相続には目の色変えるけど、普段は寄り付かない。
八方ふさがりの東洋子は、耐え切れずに家を出て自活を始める。
周りの人間は、そこで初めて一人の人間に負担が集中していたことを悟り、少しずつ状況が変わっていく。
最後はこの人らしく、前向きの希望が見える終わり方。
家族の在り方はそれぞれ、外からはうかがい知れない。えてして一人の人間が美談になるまで頑張り、結果としてほかの人は何もできないことになりがち。
それではよくない。少子化の時代、男女の違いを超えて、支えあわないと家庭が、ひいては社会が持たない。
この小説の中では、年金を貰わず、介護と医療は全額自費、そして国に寄付する人は生きてもいいことになっている。
そうだよなあ…私たちの世代、これからは国や自治体、そして家族の(不確定な話ですが)お世話になるばかり。日本は世界一の長寿国でこれからますます年寄りは増えるばかり。年寄りがいなくなったら、財政的にはうんと楽かもしれないけど、年寄りも消費活動をして消費税は納めてるし、社会や家庭がうまく回るように無償で活動しているし、ここまではっきり切り捨てるのも極論。
が、問題提起としては考えさせられた。姥捨て伝説を思い出した。これから10年後、20年後、日本はどうなっているのだろう。