浅田次郎の文壇デビュー作?
1995年、吉川英治文学賞受賞。長編で、エンターティンメイトらしい大きな構えの面白い作品。
地下鉄の駅から地上に出てみるとそこは違う時代の東京で、話者の真次は戦後の闇市の怪しげな商売から身を起こして大会社を経営するまでになった父親のその時々の姿を目撃することになる。
タイムトリップ・・・ありえない話だけど、筋運びが面白いのでまあ騙されてみましょうと読むといいと思う。
ワンマンの父に抵抗して、母を引き取り、今は小さなアパレル会社で外商のしごとをする真次、兄の出生の秘密、自殺の経緯、会社で不倫しているデザイナーが、実は母親の違う兄妹だったり、仕掛けいろいろ。
尾道のカレー屋さんの店頭で無料で配布していた。そのあと息子が来て、映画も見たと言うので意外だった。
たぶん結婚する前、その頃も今も忙しかったはずだけど、しばし息抜きしていたのでしょうか。それで少し安心した私。
東京の地下鉄はあまりに深いところを走っているので、今がいつの時代か錯覚しそうになるそうで。時たま出張などで東京へ行くらしい。鉄道大好きな息子には、東京はいくら遊んでも遊び足りないミラクルワールドでありましょう。