KAZASHI TREKKING CLUB

四国の山を中心に毎週楽しく歩いています。

寒霞渓、表12景・裏8景でもなく馬の背コースだよ~!

2023年11月17日 | 香川の里山


石鎚山から始まった山の彩りは、あっという間に比較的標高の低い山まで下がってきて、

県外の山はそろそろ冬支度。それならと県内の山に目を移すと、11月の中旬と言えば

まず寒霞渓の紅葉が頭に浮かんだ。いつもロープウェイの紅雲亭駅から表12景を登っ

て、星ヶ城まで足を延ばして裏8景を降りて行くコースだったが、ふと『そう言えば

ントツ山さん
が馬の背コースとの面白そうなコースを登っていたな』と思い出した。

紅雲亭駅の手前の猪谷池から、裏8景への道の途中から尾根に這い上がってそのままロ

ープウェイの山頂駅に向かって登って行くルートは、ほとんどが凝灰角礫岩、集塊岩か

らなる細尾根のコース。一般道ではないのであくまで自己責任でと書いてあった。ただ

アップしていた途中の写真をみて見ると、ロープウェイを見下ろし紅葉の大絶景が広が

っていた。

さっそく奥様たちをお誘いしたら、生憎ルリちゃんは旅行で欠席、あっちゃんと二人で

出かける事になった。自己責任とはエントツ山さんは書いていたが、まぁあっちゃんな

ら途中予想できないような場所があっても大丈夫だろう。ただし奇岩も多いようなので

目を離した隙に登らないか注意しなければならない。

今週はWOC登山部でも寒霞渓に出かける計画だったがやはりこのシーズンの小豆島、早

々に満席になっていた。登山部の行程だと我々とは星ケ城からの折り返しですれ違いで

きそうだ。そう思いながら今日を迎えた。


計画では今回は土庄ではなく池田行のフェリーに乗り、フェリー乗り場から紅雲亭行の

直通のバスで猪谷で下車する。そこから馬の背を登って、三笠山・星ケ城そして裏8景

を下って最後に石門(裏3景)の紅葉を鑑賞する行程だ。

いつもの自家用車と違ってバスとフェリーの時間があるので、馬の背をどれくらいの時

間で登れるかが肝心になってくる。しかもバスの間隔が開いていてフェリーとの連絡時

間も悪い。バスをひとつ見逃すと2時間以上帰りが遅くなってくる。そんな感じでいつ

になく行程を気にしていたが、一番気になったのはあっちゃんが6時50分のフェリー

に間に合うように来れるかだった。しかもサンポート地下駐車場は6時30分の開場。

あの広い駐車場で迷子にならないか、出口を間違わないか気が気ではなかった。


開場を待って地下駐車場に車を停め登山靴に履き替えていると、見覚えのある車が少し

奥まで行って駐車した。中から降りて来たあっちゃんは案の定全く違う出口へと向かっ

て行くので『お~い!』と声を掛けて呼び止めた。近づいて来たあっちゃんは迷子の子

供が母親を見つけた時のような不安な顔から安心した顔になった。



池田港行のフェリーには可愛らしいメリーゴーランドがある。






池田港ではフェリー乗り場のすぐ目の前がバス乗り場になっていた。10人以上が並ん

でいただろうか。しばらくバスを待っていたら土庄からのバスが着いた。そのバスから

降りてくる人を見てあっちゃんが『あら、セニョさん!』と声を出した。その声を聞い

てセニョさんがこちらに歩いて来ているが、しばらくの間何故か全く理解できず頭が回

らなかった。なぜならセニョさんはWOC登山部に申し込んでいたので、メンバーとレン

タカーで出かけるはずだったのだ。

話を聞いてみると、先週から体調が悪くて登山部をキャンセルしたが、昨日には回復し

たので、諦めきれずに独りでやってきたと言うのだ。『それなら馬の背を一緒に歩きま

せんか?』とお誘いするともちろん断る術もなく、二人の予定がいつもの様に三人にな

った。セニョさんなら途中の道も大丈夫だろうし、初めての道なので三人だと心強い。


猪谷で降りる人はやはり我々だけだった。三差路になった県道の丁度真ん中に、石門洞

と彫られた石柱が立ち裏8景への道が続いている。そのコンクリート道を200mほど歩

くと右に緩やかにカーブになった手前で、道の左手に何本かの木に赤色のテープがぶら

下がっていた。どうやらここが取付のようだ。テープの場所から尾根に向かって適当に

に登って行く。











ひと登りで尾根に出てしばらく歩くと、写真で見たとおりの凝灰角礫岩が現れた。後で

航空写真を見て見ると、猪谷から続く緑の中にゴツゴツとした岩肌の細尾根が北に続い

ている。まさに馬の背中の様な尾根だった。










その岩尾根の大きな岩塊を巻いて登ると展望がいっぺんに開けた。麓には今しがたバス

を降りた猪谷池とその奥には草壁の街並みと内海湾。天気予報では8時過ぎから晴れマ

ークになっていたがまだ薄曇りだ。




西側は四方指の岩壁、東側は裏八景の二見岩(ギザギザの岩)とその左下には螺貝岩が

見える。いつもは見上げる螺貝岩が丁度目線の高さになっている。







一つめの展望所から進んで行くとまた目の前に岩塊。左に巻いて行くとロープが掛かっ

ていた。もちろん二人とも問題なくクリアーする。











ロープ場を登りきり少し進むとエントツ山さんの活動日記で見た覚えのある『亀岩』。

あっちゃんに背中に乗ってもらって浦島太郎ならぬ浦島花子になってもらう。あっちゃ

んいい顔してるので、玉手箱は開けんようにね!










尾根は次第に痩せ尾根になってくる。岩尾根で遮るものがなく寒霞渓の奇岩、大岩壁を

眺めながら歩いて行く。空はまだ薄曇り、陽の光があるのと無いのとでは写真の写りが

全く違って見える。今風に言うと『映える!』だがまだ『映えない!』










痩せ尾根と言ってもそこそこ幅があるので問題はないが、足元は凝灰角礫岩のデコボコ

した岩。油断して転びでもして崖側に落ちれば数十メートルを落下、即〇となる。

寒霞渓は遥か昔の火山活動で出来た溶岩台地。その台地が長い年月をかけて浸食されて

できた渓谷だと言われているが、これほどの規模のものが浸食されて出来上がるとは、

とても信じがたい。











時々現れる岩塊を巻いたりそのまま登ったりしながら歩いて行く。ここの礫岩は握って

も足をかけてもめったに取れる事がなく(といいながらも動かないか確認しながら)、

まるでボルタリングの人口壁のホールドの様で登りやすい。







右に左にと岩塊を避けながら進んで行く。










少し陽が射し始めたがもっともっと光が欲しい。渓谷の紅葉は元々の色なのかそれとも

枯れているのか赤茶色の葉が目立つ。岩尾根ではこの辺りが一番馬の背らしい。

所々で樹林帯の中に入るが、布切れをちぎったような赤い布やビニールテープが巻いて

あるし、よーく見ると薄く踏み跡も見えるので迷う事もない。











『おっ、青空が少し見え始めた』。やはり陽が当たると山肌の色も違って見える。四方

指の大岩壁のひだもひとつひとつくっきりと見える。








正面にクロワッサンを立てて乗せたような岩壁が現れた。どうやらあの岩壁の上まで登

るようだ。近づくとクロワッサンは意外と大きな尖岩になっていた。ルートはその岩の

右下足元を巻いて行くようになっている。













二人が登って行く様子を見ながらそろそろかな・・・と思っていたら案の定、あっちゃん

がその岩に登り始めた。











この先もまだまだごろごろと岩が立っている。そんな岩の形も見る距離や角度によって

変わってくる。そして見る人によっても何に見えるかも変わってくる。














樹林帯の木々は県内の里山と変わらないが、凝灰角礫岩の露岩がこれだけ続く道はやは

りここだけだろう。正面の尾根越しに見覚えのある岩壁が頭を出している。あの尾根と

岩壁の間が恐らく寒霞渓ロープウエイが通っているはずだ。ここから左に回り込み尾根

に向かって行く。














尾根に出ると右手は樹林帯、左手は岩壁が切れ落ちていた。できるだけ左に寄らない様

にと歩いて行くが、この辺りが一番注意が必要だった。スタートして1時間が経とうと

している。回復したとはいえさすがに病み上がり、セニョさんはお疲れの様だ。







すると小さなピークで待ちに待った眺望が広がっていた。眼下に白い大きな鉄塔。少し

左の下にもう一つの鉄塔が見える。そしてその間に2本のワイヤーが掛かっていた。

『わ~ロープウェイが見えた!』とあっちゃん。『早くゴンドラが来ないかな』と言い

ながら、しばらくの間待っていると山頂駅から発車のベルの音がした。

『来た来た・・・!』ワクワクしながら眺めていると何と目の前の鉄塔で二つのゴンド

ラが交差した。そのゴンドラに向かって手を振るあっちゃんが『あっ手を振ってくれて

いる!』と言いながら喜んでいる。ゴンドラの中は登りも下りも満員の様子。

















ゴンドラ展望台から樹林帯の中を少し登って行くとまた展望所にでた。目の前には先ほ

ど頭だけ見えた寒霞渓の大岩壁。そしてその大岩壁を前に疲れて呆然と立ち尽くすセニ

ョさん。(笑)







ここから見るとロープウェイの山頂駅から直ぐに谷が深く切れ落ちているのがよく分る。

こんなすごい場所にどうやってワイヤーを掛けたんだろうか?

視線を西に移すと四方指・美ヶ原からの幾筋もの白い岩尾根と少しは色付いた山肌。こ

れがいつものように紅葉のピークならどれだけ素晴らしく凄いだろうか。イヤイヤ贅沢

を言ってはいけません。これだけの絶景が見られただけでもエントツ山さんに感謝。











ここまで北西に歩いていたルートはここから少し東に振って樹林帯の中を一旦下って行

く。その途中北側はやはり切れ落ちていて、更に大岩壁が迫っていた。するとまた発車

のベルが鳴り、ゴンドラが降りてきた。大岩壁を背になかなか様になるゴンドラ。











一旦鞍部まで下って登り返していくと、岩の捨て場のような場所からはまた内海湾と堀

越の半島が見えた。あの堀越の半島の向こう側に岬の分教場がある。そして東にみえる

のが星ケ城山だろう。










石の捨て場からは樹林帯の中を適当に登って行く。すると目の前に岩壁が現れた。この

岩壁の頂部が、山頂駅の第一展望所になる。










岩壁からは右に足元をトラバースして行く。この間は岩や木の幹に随分前につけたのか、

スプレーで書いた薄くなった矢印が誘導してくれる。












なぜか鉄板の看板が落ちていた



エントツ山さんの活動日記にはトラバースしたら裏8景の遊歩道に飛び出したとなって

いた。するとあっちゃんが岩の斜め上に向かって書いた矢印を見つけて『ここから登れ

るみたいよ』と。『いやエントツ山さんは裏8景にでたと書いてあったよ』と言っても、

『大丈夫登れるわよ』と言って利かずにどんどん登って行く。『ハイハイ』と言いなが

ら後について行くと。丁度1億円トイレの下に出た。

















山頂駅は観光客で賑わっていた。1億円トイレで用をたしたあと行動食を口に入れて、

星ケ城山へと向かって行く。いつもの事だが、三笠山への芝生の斜面の直登はなかなか

キツイ。ゆっくりゆっくりと出来るだけ息が切れないようにして登って行く。











芝生の斜面を登りきると広場になった場所に出る。広場の少し右手に四等三角点 寒霞渓

671.56m
がある。朽ちかけた白い杭と割れて半分ほどになったキティーちゃんのプレー

トには三笠山と書かれてある。そしてここ最近見かけるようになった小さな石を白と緑

に塗って山名を書いた石もあった。








三角点から広場の奥まで歩くと星ケ城山への遊歩道が続いている。背の高い木々に囲ま

れた遊歩道には日差しが届かず、落ち葉は少し湿気を帯びている。










それでも見上げると所々で色付いた木々が見える。










遊歩道を歩いて行くと左手に小さな鳥居と狛犬と祠がある。星ヶ城に山城を作った南北

朝時代の佐々木信胤をお祀りした星ケ城神社だ。







星ケ城神社から先で道は二手に分かれている。右側の道を進んで行くと山城の遺構の、

西峰の外空壕と土壇。更に進んで行くと西峰には石垣に囲まれた島の祖神として大野手

比売をまつる阿豆枳島神社があった。伊耶那岐命(いざなぎ)と伊耶那美命(いざなみ)

が大八島国(淡路島、四国、隠岐島、九州、壱岐島、対馬、佐渡島、本州)を生んだ後

に、吉備児島に次いで生んだ島が小豆島(あずきしま)。またの名を「大野手比売」とし、

その大野手比売を祀っているのが阿豆枳神社だ。













その阿豆枳神社の先には展望大岩がある。岩の上では一人の男性が休んでいた。傍らに

はロードバイクがある。あっちゃんが話を伺うとここまで自転車を担いできたそうだ。

この展望岩からは南から西にかけての大眺望が広がっている。堀越と三都半島の奥には

五剣山と屋島が近眼の私にも見て取れる。四方指の尾根の先には今は閉鎖になった小豆

島〇〇ラが頭を出している。











展望岩から先で一旦下って登り返すと星ケ城山の東峰に着いた。この山頂のシンボル石

積みのパゴダが建っている。このパゴダは昭和35年頃にどこかの宗教団体が周りに残

っていた山城の遺構の石積みを破壊して造ったそうだが、そんな事情を知らない人は山

城の遺跡にしては形が異形だとくらいにしか思わないだろう。

時間はお昼ご飯に丁度いい時間。南に大嶽から碁石山に続く尾根を眺めながら、今日は

“おこわ稲荷”を頂く。『じっとしていると寒い!』と言って寒がりのセニョさんはダウ

ンを着込んでの記念撮影。














東峰には一等三角点 星ケ城山 816.68m 瀬戸内海では一番高い場所になる。








お昼ご飯を食べながらWOC登山部がやって来ないかなと思っていたが、まだ到着しなか

った。ご飯を食べ終え遊歩道を山頂駅へと戻って行く途中で、予想通りWOC登山部のメ

ンバーが前からやってきた。挨拶をかわしすれ違いざまにIRIBITOさんと『今日

の紅葉はイマイチですね』と話をする。どうやら表12景の色付きも良くなかったらし

い。まだこの遊歩道の周りの方がマシの様だ。











三笠山の広場まで来ると青空が広がっていた。前を歩くダウン姿のセニョさん、暑くな

いのかな?











帰りのバスやフェリーの時間までまだ余裕があったので、山頂駅の周りの展望台をうろ

つく。先ずは第二展望台へ。











そのあと山頂駅の売店でソフトクリームを買って第一展望台へ。展望台の一段下ではロ

ープウェイと寒霞渓を撮影している人の姿があった。この展望台への道の両側には色付

いたモミジを見られたが、小さな葉のモミジは色付きながらもすでに葉先が枯れかかっ

ているのもあった。














ソフトクリームを食べて展望台からの景色を眺めた後は、さぁ裏8景へ降りて行こう!

裏8景の入り口は古い公衆トイレの北側にある。表12景と比べると歩く人も少ないの

か、あまり整備もされていなくて道はガタガタで荒れている。











8景の内の最初は松茸岩と鹿岩。松茸岩は案内板の正面に絶妙なバランスで立っていた。

そして鹿岩はと探して見ると、振り返ってかなり上の方に『たしかに鹿かな?』って感じ

の岩だった。帰りの道に裏8景を選んだのは何と言ってもこの先にある三景の石門と石門

。紅葉のピークの時の石門と石門洞は小豆島を代表する風景なのだ。

さてさて今年の紅葉はどうかなと思いながら下って行くと『あれあれ、あれれ?』

第一展望台で写真を撮っていた大きなカメラを抱えた人もカメラを構えたが・・・・・?







いつもなら石門の前も奥も赤や黄色のモミジで彩られ華やかなのに、今日の石門は色も

なく、寂しく貧相に見える。石門から坂を降りた石門洞も緑の中に佇んでいた。







前回見た石門





前回見た石門洞



石段を登り参拝をして下りて来ると、岩壁には寄せ石づくりでは日本一と云われる不動

明王大石仏が鎮座していた。不動明王の奥にある僧坊で住職が男性と話をしていた。

近づいて話を伺うと今年の紅葉はまだ1~2週間先のようだと仰った。さらには『なつ

の暑さが酷くて葉が痛んでいるので、色づいても風とか雨があったら直ぐに散るかもし

れません』とも。











境内の木々はほとんどがモミジで、この場所が紅葉谷と云われる所以だ。前回は所々に

緑の木が残り、その緑と紅葉のグラデーションが何とも言えず素晴らしかった。馬の背

同様に来年に期待しよう。

前回の紅葉谷



石門洞からも残りの4景を眺めながら下って行く。二見岩の周りも前回と比べると色付

きは見劣りしてしまうが、下の方まで降りてくると遊歩道の周りの色付きはまずまずだ

った。



前回の二見岩


螺貝岩









途中の8景で立ち止まりながらそして石門洞でゆっくりしながらも、山頂駅から1時間

ほどでバス乗り場のある猪谷に着いた。猪谷池の堤からは今朝歩いた馬の背の岩稜の尾

根が見えた。













バスを待つ間腰を降ろした途端にセニョさんは舟をこいでいた。そしてバスの中、フ

ェリーの中でも・・・・。病み上がりの身体で無理して付いてきてくれたのかもしれ

ない。お疲れの様子を見て申し訳なく思う。











この季節、小豆島から高松に着くといつも日が暮れている。シンボルタワーの灯と工

事中のアリーナを見ながら車を停めた地下駐車場へと帰る。

今回で4回連続でバリエーションルートを歩き、一般的な登山道を歩いたのではけっ

して見ることのできない絶景を眺めてきた。それにしても少しハードルを上げ過ぎた

感がある。来週の山行の行き先が全く思いつかない。弱った・・・・・!





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