丸物百貨店の食堂へ行くと
いつからか馴染みになった
ウェイトレスのチーフが席にやってきて
「良くいらっしゃいました…」
と丁寧な挨拶をされました
この丸物百貨店の食堂へ行くのは
曜日が決まっているのではなく
そのときの母親の気まぐれで
「行こう…」
と家の前のバス停に行きます
小学校3年のとき
父親の勤め先の関係で
満州(中国東北部)へ渡りました
敗戦後、満州から
父親の故郷、静岡県浜松に
引き揚げてきます
浜松に着いたとき
一面の焼け野原で、
戦後のバラック住宅だけでした
数年経って京都へ帰ってきました
京都は空襲にあっていません
京都は私の小学校3年時の
景色のままでした
焼け野原の浜松を見たあとなので
京都の時間は止まったままに見えました
京都駅前、丸物百貨店ビルディングは
以前のまま聳えていました