初心者の老人です

75才になって初めてVISTAを始めました。

i日本のハリウッド

2011年05月21日 21時25分48秒 | Weblog


京福電鉄のラッシュアワーの、

太泰(うずまさ)駅で

大映京都撮影所と東映京都撮影所の

ニューフェイスの俳優さんや

映画人(カツドウヤ)が

大勢下車します

太泰駅のそばには広隆寺があります




この寺に国宝第1号(彫刻)の

弥勒菩薩半跏思惟像(みろくぼさつはんかしいぞう)が

安置されています

広隆寺の後に東映京都撮影所があります



京福電鉄の太泰駅の次「帷子ノ辻(かたびらのつじ)」には

松竹京都太泰撮影所があります

時代劇映画はこの太泰から

帷子ノ辻ですべて作られていました



太泰から帷子ノ辻までの三条通りに並行して

バイパスがあります



その通りを「大映通り商店街」と呼ばれています




この大映通り商店街に撮影の時間待ちで

扮装した時代劇の俳優さんが喫茶店や

食堂を見ながらぶらぶら歩いています



近くに3つも撮影所がある関係で、

扮装した俳優さんが歩いていても

地元の人には別に珍しいことではなく

意識することはありませんでした



東映京都撮影所には大勢の

東映ファンがバスで

お目当ての中村錦之助、東千代之介、

千原しのぶなどを一目見ようと

押し掛けていました



映画全盛時代の太泰の賑わいです

日本のハリウッドと呼べるのでしょう




映画「大仏開眼」

2011年05月20日 22時24分08秒 | Weblog


四条大宮が始発の京福電鉄嵐山行きに乗って

太泰駅で下車、小学校の横の細い道を行くと

大映京都撮影所につきます



大映京都制作、黒澤明演出の「羅生門」が

ヴェネツィア映画祭に

出品してグランプリを受賞します



出演者は森雅之と京マチ子さん

それに黒沢一家の

三船敏郎でした



京マチ子さんはグランプリ女優とか

国際女優と呼ばれるようになりました



大映京都撮影所がターゲットにした

国際映画祭出品の映画に京マチ子さんは

出演していました



「羅生門」の受賞から

国際映画祭を意識した作品は

「源氏物語」「雨月物語」

「大仏開眼」「山椒大夫」

「大阪物語」「新・平家物語」などが

ありました



私は何故か、大映京都撮影所のオープンに建てられた

崩れかけた羅生門のリアルなセットを見ています




数年後、映画「大仏開眼」(だいぶつかいげん)は

奈良に大仏を建立するまでのストーリーです。

主演は長谷川一夫と京マチ子さんです

オープンに建てられた見上げるような大仏様を

私はまた見学しています



映画「大仏開眼」が

制作されているとき

撮影所見学に観光バスで訪れた

お年寄り連が

オープンセットの大仏様の前で

ありがたがって、合掌し

お賽銭を投げていくので

撮影所は困っていると聞きました




デジタル「地獄門」

2011年05月19日 22時05分47秒 | Weblog


NHK番組で総天然色映画「地獄門」の

モノクロフィルムによる、三色分解の

デュープフィルム缶が並んでいるカットを

見たときは、感動しました




同時にどういう経緯で

このフィルムを作られたのか

思議な思いでした



このデュープフィルムからデータを

コンピューターに取り込んでいきます

3本のデュープフィルム(赤、緑、青)の映像を一齣ずつ

掻き落としながらデータを取り込んでいく画面は

気の遠くなるような作業に感じました



デュープフィルムは経年変化で劣化していて

正確な掻き落としが出来ずレジズレを

起こしてしまいました

フィルムデータを取る掻き落としの爪が

デュープフィルムのパーフォレーションと

微妙に食い違っているのが原因でした



機械の名人が、掻き落としの爪を

1/100の精密さで修整を施して

データのレジストレーションズレを直す

くだりは感動的でした



フィルムに残っているフィルムのキズを修整し

音声トラックの音ノイズを気の遠くなるような

微妙な顕微鏡的な補正で、取り除き

瞭な音声(台詞)とキズのない見事な映像の

新品の映画「地獄門」を鑑賞できました





映画「地獄門」⑧

2011年05月18日 23時13分00秒 | Weblog


大映第1回総天然色映画「地獄門」は

色彩的にも大成功でした



フランスのカンヌ映画祭でグランプリを

アメリカのアカデミー賞

など受賞します



このイーストマンカラーの成功で

日本の映画界は一斉にイーストマンカラーに

よる色彩映画を制作しはじめました




ハリウッドでも3本のモノクロフィルムを使う

大げさなテクニカラー方式から

本のネガフィルムで済む

イーストマンカラーに変わります



ハリウッドではイーストマンカラーで

撮影するようになりました。

劇場用にイーストマンカラー・ポジフィルムを

使う代わりに

劇場用カラープリントをテクニカラー社で

処理される方式がありました



このテクニカラープリントを

「カラー・バイ・デラックス」の

名前でタイトルに表示されていました




このコダックのネガ・ポジ方式の

カラーフィルムに影響を受けて冨士フィルムも

ネガ・ポジ方式のフィルムを完成させます



我が国ではイーストマンカラーで

撮影された作品の劇場用プリントの

一部に冨士フィルムの

ポジフィルムが使われた例もありました




映画「地獄門」⑦

2011年05月17日 20時58分56秒 | Weblog


コダックが天然色写真用として

コダクローム(外式発色)を

出していました



モノクロ(白黒)写真は高い照明比で

コントラストの強い作品がありました

然色写真としてのコダクロームでは

できるだけフラットなライティングを

奨していました



被写体に当たる主光線と押さえのライトの

比率は1対2とか1対3ぐらいが良いと

われていました




被写体の色彩を忠実に再現するには

フラットなライティングが良い



フラットな照明でも表現される

色彩で写真は鑑賞に堪えると

われていました



総天然色映画「地獄門」でも

コダックよりフラットライティングを

推奨されていました



フラットライティングを原則としながらも

「地獄門」のナイトシーンはコントラストの

強いライティングでした



灯りの消えた屋敷を

青いライトに照らされた

シルエットの描写は好きでした



2011年5月2日 NHK BSプレミアムで

放映されたデジタル・リマスター版「地獄門」では

このナイトシーンのブルーの色を

かなり引き算されていました



現在のカラー映画では自然で良いのですが

昔、作られたブルーの利いた

イーストマンカラーの色彩を

懐かしく思い出します




映画「地獄門」⑥

2011年05月16日 21時54分50秒 | Weblog


総天然色映画で困ることは

ナイトシーン(夜景=夜の場面)です

カラーフィルムは暗い夜の場面の色彩も

豊富に描かれてしまうことです



名月の夜の景色では我々の目に

明かりのなかに色彩のない

漆黒の墨絵のような

景色が広がって見えます



夜景の色彩をできるだけ殺すために

アメリカのテクニカラー映画では

夜の場面はブルーのライトをかけて

夜の雰囲気を出していました



「地獄門」のナイトシーンも

ブルーのライティングで描写していました



星明かりの野原の場面(セット)で

盛遠(長谷川一夫)がロングから手前に

歩いてくるシーンの星空に浮かぶ場面は好きでした




カラーフィルムで写真を撮るようになって

改めて人間の眼のすばらしさを実感しました

昼間(ディライト)でも夜の居間(タングステン)でも

本人に自覚することなく自動でホワイトバランス

がとられています



暗い場面でも明るい場面でも露出に

過不足なく見ることができます

また、完全なオートフォーカスです

しかも、3Dで立体的に見ることができます



人間の眼からみて

不完全なカラーフィルムには

スリーカラーメーター(色温度計)

や露出計が必要になるのでしょうか




映画「地獄門」⑤

2011年05月15日 21時42分31秒 | Weblog


総天然色映画「地獄門」の

作現場のスタジオは

大変な熱量です



何しろ、お化け照明器具の

20㌔ワットのライトが

並んでいるのです



タングステン電球はその消費電力の割に

になる量は僅か数%です



あとの電力は大部分熱になってしまいます

能率の良い蛍光灯と違って



総天然色映画撮影の

スタジオ(ステージとも呼ばれていました)

は主に冷房の効いたAー2スタジオで進められました



映画界では空調の

効いたスタジオはあまりありませんでした

冷房の効いた大映京都撮影所の

Aー2スタジオは

しい存在でした



スタジオの入り口には

氷で冷やした麦茶が置かれています



そのそばに塩を盛り上げた壺が置かれています



スタジオの天井で照明器具を動かす照明係の若者は

入り口で塩をひとつかみ口に入れて、麦茶を飲んで

天井への階段を登っていきました



大きな照明器具の並んでいる天井はいくら

冷房が効いていても、スゴイ暑さです



スタジオのウォッチマン(警備員)は、時々

天井を温度計で計りながら歩いていきます




色温度計

2011年05月14日 22時03分44秒 | Weblog


大映第1回総天然色映画「地獄門」は

初めての時代劇でしかもスタジオの

セット中心の映画です

何から何まで初めての経験でした

松竹の「カルメン…」「夏子…」は現代劇で

そして陽の当たるオール・ロケーションの映画でした



特に、カラーフィルムは色温度に敏感です

イーストマンカラーはタングステンタイプで

色温度3200度ケルビンに指定されています

スタジオ、セットの照明器具の

照明電球(タングステン)の色温度を

3200度ケルビンに

厳密に合わせなくてはなりません



セットで出演者のリハーサルも終わって

いよいよ本番が始まる前に

毎回、照明器具の電球の

色温度がチェックされました



映画冒頭のタイトルにはスタッフの

名前がずらりと並んでいます



その中に撮影、撮影助手のところで

目新しい色彩計測××というのがあります



その色彩計測さんが

照明器具の色温度に責任を持たされた人です



色彩計測さんは手持ちの

スペクトラ・スリー・カラーメーター

で照明器具の一つ一つの

色温度を計って(計測)していきます



少しでも色温度がおかしいと

電球の交換を照明係に促します



出演者の演技もうまくいって

少し緊張気味で本番を

撮ろうとしているときに



色彩計測さんからダメが出されると

スタッフ一同ガックリきたものでした




映画「地獄門」の照明

2011年05月13日 21時03分21秒 | Weblog


天然色フィルム(カラーフィルム)の

感度が低いので、それを補うため

照明の照度を上げなくてはなりません



ハリウッド研修組に照明器具製作担当会社の

若社長が同行していました



そこでR電社では天然色映画制作に備えて

タングステン電球で20㌔ワットの

お化けのような大きな電球を製作しました



お化けのような大きな電球を入れる

照明器具も大きなものでした



このお化け照明器具を人力で扱うのは

無理でした

ホイストでセットの上に巻き上げて

のセッティングでした



このお化け照明器具は、セット照明の

キーライトとして何台も並んだ姿は

壮観でした



セット撮影でリハーサルのときは

20㌔の半分の10㌔ワットにスイッチを

切り替えます

半分に暗くなった照明器具の電球を冷やすために

冷却ファンがブーンと唸ります



そして本番が始まるとき

助監督が

「本番まいります」と

セットで怒鳴ります



照明は20㌔に切り替えられて

冷却ファンが止まるとともに

セットの照明は倍の明るさになります





映画「地獄門」④

2011年05月12日 20時21分52秒 | Weblog


大映第1回総天然色映画「地獄門」は

メーンタイトルが終わって、

三巻の絵巻物が並べられた

三方から一巻の絵巻物を

取り上げるカットから始まります




石黒達也のナレーションにつれて

絵巻物が写されます

絵巻物とオーバーラップして

武士の奇襲を受けて大混乱の

屋敷を上手から下手への

移動撮影で始まります



平安末期、平清盛の臣下の武士・盛遠は

平康の乱で上西門院の身代わりにたった

袈裟という女の車を守る役に任ぜられ、

その袈裟を助けて兄の家に連れて行ったとき、

その袈裟の美しさに心を奪われる。



盛遠は京を留守にしている清盛の下に

謀反の知らせを届けて武勲を挙げる…




キャストは

遠藤盛遠:長谷川一夫

袈裟御前:京マチ子

渡辺渡:山形勲

平重盛:黒川弥太郎

小源太:田崎潤

六郎:坂東好太郎

平清盛:千田是也



彌仲太:石黒達也

政仲:植村謙二郎

三郎介:清水元

左和:毛利菊枝

刀根:南美江

真野:荒木道子

盛忠:澤村國太郎

平家貞:荒木忍

平康忠:香川良介

平宗盛:小柴幹治

胤成:南条新太郎

真澄:近衛敏明

加喜助:殿山泰司




年配の映画ファンには懐かしい名前が

並んでいます…