けい先生のつぼにくる話

はりきゅう漢方の先生が教えてくれる健康に関する話
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五臓(蔵)の中の「心」つづき (狭心症について)

2008-11-10 22:32:55 | 東洋医学全般
心(しん)は喜びをつかさどる臓器、五臓の中で一番陽的な蔵(臓)です。
古典医学では五蔵(臓)である、肝、心、脾、肺、腎のうち、これらの蔵と関連経絡の虚を見出して、そこを補うことから治療がスタートします。

この治療をおおもとのアンバランスを調整するということで、「本治方(ほんちほう)」といいます。病の度合いのよってはこの本治方を行うだけで、治ってしまう場合があります。極端なことをいえば、患者さんの病名は関係ないともいえましょう。

もちろんこれに対して「表治方(ひょうちほう)」という概念で、病を治す経絡やツボや漢方薬も多々存在します。

要は、「病の居心地を悪くする」「病気の存在理由をなくす」ということです。

しかし、古典医学では心虚証という、心が虚している状態というのは、イコール死を意味するということで、存在しないとしています。
もちろん、他の蔵や経絡の熱が波及してきたり、冷えが及んできて、心やその経絡がおかしなことになっている場合はあるわけです。しかし、心事態が虚してしまうという概念は使いません。

さて、そういうことで、「心」は一番陽的な場所(人体の上の方)にある一番陽的な働き(いつまでもきびきびと動いている、熱が生産されている)をしている蔵です。死ぬまでしっかりと動いているのです。いってみれば「これ以上の熱というかエネルギーのようなものは必要としていない」といえましょう。

これは一つの例ですが、本来人のからだは頭寒足熱でなければいけないところ、極端な冷え性や、堕胎、交通事故や、慢性疲労によって、下半身にしっかりと停滞していなければいけない、温かい氣が、人体の上のほうに上ってしまうことがあります。

これも一つの体の一部の虚(きょ)から発生しているということで、虚熱(きょねつ)といいます。これが、頭に上ればのぼせや不眠症、耳に来れば耳鳴りや突発性軟調、胃に取り入れば胃潰瘍や食欲異常などの原因の一つになります。

さて、虚から発生したとはいえ、「熱」でありますので、これが胸に停滞すると、必要以上のエネルギーというか、熱気が心の拍動を異常亢進させて、病となる場合があります。多くの場合、医師に「動悸息切れ」か、ひどいものは「狭心症」と診断されている場合が多いようです。


でも、これは「心」が悪いわけではないんですね。
治療としては、まず、足と腰が温まるような経絡やツボを使います。或いはそういう漢方薬を使います。同時に、胸にこもった熱が自然に発散されるような、ツボや漢方薬を匙加減することによって、ウソのように心臓の症状が消える場合があります。

もちろん、「狭心症と判断された方は漢方併用の如何にかかわらず、ニトロ剤は常に携帯しているべき」です。また、「心筋梗塞」はこの病理とは異なり、冠状動脈のつまりですので、必ず医師の指示を仰いでください。

もちろん、漢方薬にはコレステロールを除去する方剤がたくさんあるのですが、「心臓が止まってからでは遅い」ので、かならず医師の言うことを聞いて、冠状動脈をしっかりと通して、命を確保してから、私にお電話をください。。。。


日本伝統鍼灸漢方
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