けい先生のつぼにくる話

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桂枝茯苓丸 (けいしぶくりょうがん)と妊娠  (HPの掲示板より)

2012-06-20 08:05:20 | Q&Aコーナー
漢方アメリカOnlineの掲示板に書き込みが入り始めました。
前回の記事のとおり、これまでは怪しいジャンク書き込みばかりでしたので、これからはこれらの書き込みのお返事の内容をこのブログで更に充実させてゆきたいと思います。




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こんにちは! 
桂枝茯苓丸が届いてから毎日飲んでいますが、質問です。
飲み始めて1週間でお腹あたりがポカポカ暖かくなるようになったのでとても嬉しいのですが、もし妊娠したら、桂枝茯苓丸は飲むのをやめたほうがよいですか、それとも引き続き飲んでも大丈夫ですか?
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お腹の辺りがポカポカ暖かいというのは、大変よい兆候です。そして、ご心配ごもっともです。

桂枝茯苓丸は瘀血(おけつ)対策の代表的な漢方方剤です。
「女性は血の道」という言葉があるように、婦人科系の疾患は[血虚とわれる血が足りない場合]、[瘀血といわれる血の巡りが悪い場合]と[その両方の場合]が考えられます。そして、それに冷えや熱が加わっていろいろな病気を形成してゆきます。
ちなみに、血虚の対策には当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)が代表的な漢方方剤です。
もちろん女性の血の道を含んだ婦人科系に使われる漢方方剤はこれらをベースに何種類も存在します。
その中から、一人ひとりの体質に合ったものを選び出すのが漢方医の仕事となるわけです。


以前瘀血対策の漢方薬は妊婦さんによくないのではというご質問を受けたことがあります。この方はインターネットの知識に振り回されて、調べれば調べるほど不安になっていらっしゃいました。

知ったかぶりのグーグル君たちが無責任な記事を書いているようで、これが影響しているのです。いや、これは瘀血を「排出」する働きがある漢方薬だから、胎児にも悪影響があるはずだ。。。」という風に。。。

そんなこたぁありやせん!

昭和の漢方医荒木性次先生のご本で、漢方医学の古典である傷寒論と金匱要略を解説した新古方薬嚢(しんこほうやくのう)の中にこのような記述があります。

婦人妊娠して二三ヶ月頃に至り出血ありて腹に動悸ある者、平常鼻血など出やすき者、のぼせ性にて顔紅く手足冷ゆる者、肩張る者、所謂血症にて顔に赤み多きものに本方(桂枝茯苓丸)の行くところ多くあり。」

というわけで、妊娠中の出血にも効果があるくらい、妊婦さんも安心して使える漢方薬です。

しかし、一般的にはおめでたくご妊娠をされた場合には、当帰散(とうきさん 當歸散 私は旧字が好きです。)が妊娠保全薬として使えます。これをご出産の暇で服用していただきますと、安産のお薬としての効果が出てまいります。

さて、それではそれまで飲んでいた桂枝茯苓丸は、もう使わないのでしょうか?

そんな事はありません。ご出産は瘀血ができる最大の現象の一つです。
ですのでこの方剤を産後に服用すればよいのです。
お求めになられた漢方薬は決して無駄にはさせませんので、ご安心ください。



漢方アメリカOnlineをよろしくお願い申し上げます。

私の記事が載っている月刊誌「はつらつ元気」です。ご参考になさってください。

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