けい先生のつぼにくる話

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当帰芍薬散か白朮散どちらがよいでしょう? (HPの掲示板より。)

2012-06-25 18:17:00 | Q&Aコーナー
今回も、HPの掲示板に書き込んでいただいた内容からお話をさせて頂きたいと思います。


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はじめまして。中西部在住です。実は初めての妊娠を流産してしまったようです(医師による確定はまだです)。
悲しんでる心の片隅で、私が赤ちゃんを迎える準備ができていなかったのでは、という思いがむくむくと出てきました。妊娠を望む女性の体質改善のために「当帰芍薬散」がよいと本で読んだのを思い出し、検索サイトからこちらにたどり着きました。
「白朮散」が流産予防によいとあるのですが、この2つはどのように違うのでしょうか?
また、副作用としてはどのようなものがありますか?日本のように何かあればすぐ病院に駆け込める環境ではなく、自分で管理して飲むのですから、ある程度の知識を持ちたいと考えています。
ちなみに、漢方は「葛根湯」しか飲んだことはありません(在米でも愛用してます)。根っからの冷え性、生理も重い方です。体型はやせ型で、鉄欠乏性貧血があります。
お忙しいところ申し訳ないですが、教えていただければありがたいです。ブログの方に(中華料理店のお話、読んで爽快でした!)掲示板を充実させたいとありましたので、個人的な質問ですが、どなたかの目に留まり参考になればと思いましたので、こちらに書き込ませていただきました。長文失礼しました。よろしくお願いします。
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文中に「どなたかの目に留まり参考になればと思いましたので、こちらに書き込ませていただきました。」と書いてるのをみるにつけ、本当にお優しい方の書き込みだなと、大変嬉しく思いました。

ご中の、妊娠を望む女性の体質改善のために「当帰芍薬散」(とうきしゃくやくさん)がよいというのは、そのとおりであります。ただ、この場合は「血が足りない」タイプの方で妊娠をお望みになっている、或は婦人科系の疾患を癒したい場合に多く使われます。
か弱くて色白な「白雪姫」タイプ、或は水はけが悪いのでぽっちゃりしていて、熱がりで寒がりのタイプに使われます。

病名を挙げてみますと、不妊症、婦人科系疾患全般、原因不明の腹痛、貧血、高血圧と低血圧(体内の水分が血に変われないので、矛盾しているようですが、このようなことが起ります。)、腎臓疾患などに用いられます。

一般的に女性は「血の道」といわれるとおり、適切な血の量や温かさが必要となります。当帰芍薬散の服用は女性のお体によいことばかりで、特に危険な副作用はありません。
多くの漢方薬の効能書きには必ず副作用を書いてある欄がありますが、これは医師や薬剤師が「だからあらかじめ書いてあったでしょう。」と責任逃れをするために逃げ道である場合が多く、あまり気にする事はありません。

そうですね、、、もしこのお薬に体質が絶対的に合わない方がいらっしゃった場合、或はこれをじゃんじゃん一日10回以上も飲んだとしましても、便秘するか、口内炎ができる事はあっても、危険な事は起きないと考えられます。



白朮散(びゃくじゅつさん)は流産の防止に使われます。子宮を温めて赤ちゃんの居心地のよい環境を作ります。これは漢方医学の古典書籍の一つ「金匱要略」(きんきょうようりゃく)に載っている伝統的な漢方方剤で、とくに流産のご経験のある方の、妊娠中の養生薬として、当帰散(とうきさん)と共に使われます。

また、この「白朮散」とこれまでお話をしました「当帰芍薬散」の合方(二つ以上の方剤を混ぜ合わせたもの)で卵巣の腫れた状態を癒す治療が可能です。

余談になりますが、漢方医学は中庸を行く医学です、いくらお腹を温めるといいましても、この白朮散でお腹の赤ちゃんが「のぼせてしまう」事はありませんので、ご安心ください。そういう副作用はありません。


読者の皆様も、何か漢方医学関連のご質問がありましたら、お気軽に漢方アメリカOnlineの掲示板にご投稿いただければ幸甚です。この掲示板の回答欄と、このブログにて各々適切なお答えを載せさせていただきます。


もちろん、ご所望であれば、ご質問を頂いた方々一人ひとりにE-Mailや電話にて個別の回答をさせて頂いております。当然こちらの方は、個人の情報に対する守秘義務は十二分に守らせて頂きますので、ご安心ください。
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