これまでお話をしましたように、高血圧になっているという事は、当然そうなるまでの健康状態の変化があるわけで、その背景は一人ひとり異なってしかるべきであります。
結果的に、高血圧に効く漢方方剤をざっと並べてみると、八味地黄丸(はちみじおうがん)、六味地黄丸(ろくみじおうがん)、加味逍遥散(かみしょうようさん)、帰脾湯(きひとう)、七物降下湯(しちもつこうかとう)など、これ以外にもまだまだ多くの種類があります。
「結果的に」と書いたのは、これらの漢方薬をグーグルなどで調べてみると、必ずしも高血圧の薬とは書かれていないのに、患者さんの体質や状態によっては高血圧に効果が出てしまうことを言いたかったからです。始めに書いた、「その背景が異なる」ということです。。
グーグルや普通の漢方薬の指南書に出ている説明書はその多くが医師や医師と同じフィールドで働く薬剤師さんによって書かれていますので、どうしても病名治療となってしまう傾向にあります。そうすると、グーグルおたく(いや、、熱心な)の方ほど、「え~、八味地黄丸は糖尿病の薬ですよ~、加味逍遥散はストレスの薬だし、高血圧なんて書いてませんけど。。。。」となってしまうのです。
まずは、上に並べた漢方方剤の使い方に触れてみましょう。
1.中年になって下半身が弱ってきたり、やや糖尿の気があったり、白内障があったりする体質の場合、或は若い方でも、朝起きたときに腰が重だるいという状態があれば、地黄丸類を使うことができます。結果的に高血圧に効きます。
八味地黄丸(はちみじおうがん)はやや体が冷えている方、六味地黄丸(ろくみじおうがん)それほど冷えていない方に使います。
2.イライラなど、怒り系のストレスのある方は、加味逍遥散(かみしょうようさん)が使えます。これは柴胡剤(さいこざい)のグループに属する漢方方剤です。加味逍遥散から派生して体質に合わせて、これらから選ぶことも可能です。
http://blog.goo.ne.jp/keisclinic/e/846bc8f321ed9b484607c0751e4ded4f
3.とにかく考え込んでしまう方は帰脾湯(きひとう)を飲むことによって、高血圧の症状が落ち着いてまいります。
4.七物降下湯(しちもつこうかとう)は、ずばり高血圧を目標に日本で発明された漢方方剤です。最低血圧が高く、疲労倦怠が強く、眼底出血を繰り返している方に著効します。
この、方剤と体質気質にアプローチする上記の漢方方剤を併用してもよいでしょう。
漢方医学による治療は、「いや私は本態性高血圧だから」とか「自分は腎性の高血圧だから。。」などと、ご自分でくくってしまわずに、フレキシブルな考えで飲んでみるのもよいことです。
漢方アメリカOnlineをよろしくお願い申し上げます。
私の記事が載っている月刊誌「はつらつ元気」です。ご参考になさってください。