言葉のチカラこぶ——『いい言葉塾』

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コピーライターになりたいか<38>「いいコピーは、すぐ腐る」

2011-12-19 10:25:16 | コピーライターになりたいか
こんにちは。
販促経営コンサルタント、藤田です。
本日2回目の投稿です。

この<コピーライターになりたいか>というカテゴリーでは、50回連載限定で、コピーライターになりたい人や、キャッチコピーを作りたい経営者の方向けにコピーとは何だということを解説しています。
かつてメルマガで配信していたものの再録ですが、貴重なアドバイスが含まれていますので、読んで損はありません。
(なお配信は原則毎週1回月曜日にと思っていますが、基本的にランダム配信です)

それでは第38回目です。

38.いいコピーは、すぐ腐る


奇妙なタイトルから今回は始まりました。
嫌な展開?
まあ、読んでください。

会議は踊ってもいいけど、ーーー(ちなみにこの言葉を知らないひとのためにちょっと蘊蓄を。知っている人は飛ばしてください。“会議は踊る”とは、1931年に作られたドイツ映画のタイトルで、1814年、ナポレオン敗北後の欧州秩序を話し合うために、90の王国・53の公国の代表がウィーンに集い、ウィーン会議が開かれた模様を、恋愛、政治、外交の駆け引き等で楽しく描いたものです。その題名の『会議は踊る』は、オーストリアの将軍・リーニュ公の「会議は踊る、されど進まず」という、会議を評した有名な言葉にちなんでいます。史実としても、この会議は主要国のみで話し合い、その他大勢の各国代表は晩餐会、舞踏会に明け暮れ、さらに会議自体も社交的雰囲気のなかで展開され、宮廷外交の駆け引きで内容が詰められていった、というテンポの遅いものだったそうです。フランスのタレイランは「一日の四分の三はダンスと宴会だった」とメモしています。そんな歴史絵巻をロマンスと音楽とダンスで彩りながら、ウィーン風に仕上げた映画が『会議は踊る』です。以上。
ーーーいいコピーは、すぐ腐ると困る。

特にわれわれコピーライティングを職業にしているものにとっては。と思う人もたくさんいらっしゃると思います。
この言葉は、ぼくの大好きな作家、沢木耕太郎氏の「夕陽が眼にしみる」の一節にあった、ノンフィクションの巨人、大宅壮一氏に触れて書いたものの中にあった「言葉は腐る」という言葉です。

「言葉は腐る」というのは、その時代に流行していたもの、その時代に書かれた、その時代の雰囲気を伝えるような言葉であり、それが時代を経ると、どうしようもなく古臭くなってしまうというような意味合いです。

その時代、その時代に、その時代を象徴するような言葉、文章を書き連ねてきたコピーライターとしては、耳の痛い言葉です。
しかし、そこから考えて、腐る言葉こそ、コピーライターは生み出していくべきではないか、とも考えるようになりました。

言い換えれば、いいコピーは、その時代を象徴するものが一番、その時代には光っている言葉なんですから。

だからコピーライターは、時代を経ると腐ってしまうような言葉をこそ、作るべきではないのだろうかと。
時代に左右されない言葉、文章は文学であり、決して商業によって生み出されたものではないからです。

逆にいつまでも残るコピーなんていうのは、コピーとしては良くない、つまらないものではないだろうか。

以前、ぼくはこのメルマガでも書いたことがありますが、コピーは詩に似ているけれど、詩とは全然違う性質のものだ。
コピーで“文学する”必要はないのだ。コピーで“文学”をしようとするのは邪道だ。
コピーはコピーライティングという、商業のひとつの分野であり、決して芸術分野の文学の一端ではないのだよ、ワトソン君。

だから広告のコピーというものは生なものなんだから、腐ってこそ本望というものです。
いつまでも生き続けているコピーなんて、逆にいうと、つまらないものなのではないでしょうか。

新鮮だからこそ、良いコピーは腐るものなんだということ。

血のしたたるような、フレッシュなコピーはすぐ腐る。

いいコピーこそすぐ腐る
腐ってこそ本望。
それをコピーライターの名誉と考えよう。
そんな、すぐ腐るコピーをこそ生み出し続けてほしいものです。

決して自分のコピーをいつまでも残るものにしないこと。

残るのなら、心の中に、印象としてだけ残るものを。

いつまでも、実際に使われるようなコピーは作らない。
それを胆に銘じて作ってみてはいかがでしょうか。

逆に、そう心掛けることによって、いいコピーが作れるのではないかな、とも思う次第です。

いかがでしょうか。

さあ、思いっきり、腐るコピーを作ってみませんか。

こう書いていて、今、思い出しましたが、あれは確か糸井重里さんだったかの、20世紀末の年賀状か、もしくはどこかのデパートのお正月のコピーで、つぎのようなものがありました。


        あけまして、こんばんは。


世紀末の新年ということを、これほど短い言葉で表現したものを、ぼくは他には見かけませんでした。
これこそすぐに腐るコピーではないでしょうか。翌年には絶対使えない究極のコピーです。

しかし、それが使われた年にはものすごく輝いて見えるコピーです。

そのとき一瞬ものすごく輝いて、次にはもう使おうとしても使えないコピー。

腐るコピーとは、そういうものです。

生なコピーだからこそ、もう使えない。二度と使えないもの。

コピーライター冥利に尽きる、いいコピーですね。
(まあ、AD2100年の新年にはまた使えますけどね……)


<39>へつづく。

それでは今日はこれで。
あなたの一日が今日もいい一日でありますように。
藤田販促計画事務所、お客様力(ぢから)プロデューサーの藤田でした。

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気になる日本語の言い回し

2011-12-19 09:25:04 | 販売促進コンサルタントの日記
こんにちは。
前橋の経営販促コンサルタント、藤田です。
今日もよろしくお願いします。

朝、ゴミ捨てに外に出たところわが愛車に霜がびっしりとついていました。
ガレージもない露天駐車なので、そういうことになります。
こういった霜はこの冬初めてですね。
それだけ夜に冷え込んだということです。
いよいよ真冬なんですね。

こういう朝は、ぱっと目が覚めたときにすぐに起き上がらないと、ちょっとでも躊躇すると、だらだらと30分ぐらいは、軽く過ぎていきます。
辛いけど、辛いなあと思う前にパッと。
今朝の天気予報によると、週末にはクリスマス寒波がやってくるそうです。
ホワイトクリスマス?


さて、この地方(北関東)のJRの電車のドアは、冬の間は手動で、降りる人、乗る人がいない場合は、そのまま閉まった状態になります。
冷たい風が吹き込まないようにする工夫ですね。

でもだいたい一人や二人は乗り降りするので、あまり意味がないようにも思えますが。

でも両開きのうちの片方を開く場合が多いので、少しでも開口部が狭いほど、気分的に寒さが違うという感じですかね。
またすぐに閉めることもできるようなので、すぐに閉める気の利いた人もいます。



▲ところでこれはそのドアの表示です。
日本語として変、ですよね。

あれっと思ったので、携帯で撮りました。
近くの人が、私が変なところにレンズを向けて撮っているところを見ても、誰も変な顔をしていないところを見ると、それほど携帯で何かを撮影するということが日常化してしまったのでしょうか。
この言い回しの変なことよりも、誰もドアを撮影している姿を不思議に思わないことの方が、あとで気になってしまいました。

ところでその言葉です。

ドアは手で開けて
 乗り降り下さい


とあります。
2行目は『乗り降りして下さい』の方がいいですね。

こんな些細なことと思われるところから、日本語が変になっていくんでしょうね。

「乗り降り」というのは名詞ですので、「下さい」が動詞になってしまいますが、「乗り降り」を「下さい」というのは、あなたに「乗り降り」をどのようにさし上げたらいいの?ってことになりませんか。

日本語をかじった外国人が言うような言葉遣いですね。
私は国語学者でないので、厳密にはわかりませんが、言い回しとして、聞きづらいと言うか、一瞬「?」と思います。
一応言葉を生業としてきた自分なので、とても気になったので、ちょっと取り上げてみました。

こういった変な言い回しは、お店のPOPなどにもよく見受けられます。

助詞を無視したもの、助動詞で済ませようとしたもの、形容詞の使い方が明らかに違っているものなど、様々です。
わざとミスっていると思われるのもありますが、ほとんどは明らかに勉強不足というか、ああ、この人は言葉を知らないなと思えるものがたくさんあります。

面白く書く、わざと崩すというようなテクニックは必要ですが、それは基本をよく知った上でのことです。
わからなければ人に聞きましょう。

聞くはいっときの恥。聞かぬは一生の恥」という諺も、もはや死語と化して(とキーボードで売ったら「仕事化している」に変換されました)いる昨今ですが。



それでは今日はこれで。
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