福井県の製薬会社が製造した爪水虫などの皮膚治療薬に睡眠導入剤の成分が混入し、服用した患者の健康被害が100件以上も報告されているという記事が、朝日新聞など多くのメディアで報道されています。
薬剤中に他の薬効成分が混入するということは、薬に対する信頼性を大きく損なうもので、あってはならない事故といえます。問題の薬剤は経口抗真菌剤のイトラコナゾール錠50で、医師の処方箋が必要な医療用医薬品で、爪水虫やカンジダ症の治療に使われています。
これは米国の製薬会社が開発した、イコナゾールの後発品(ジェネリック)でいろいろ問題があったようです。
私は先発の医薬品メーカに勤務していましたので、新薬開発の苦労などを全く行わないジェネリックというものに偏見を持っています。
もともとイコナゾールは非常に難溶性で、腸管吸収が悪いものを先発品は添加物などで克服したのですが、このイトラコナゾールは同じ物質とはいえ生物的同等性に問題を抱えていたようです。
余談ですが、ほとんどの医薬品は薬成分だけでなく色々な添加物を加えて薬剤を作り、吸収性や安全性を高めています。この辺りに新薬が開発されてから製剤研究の最も難しい課題が出てくるわけです。
この製剤関連の微妙なノウハウについては全く公表されませんので、ジェネリック医薬品が先発品と全く同じとは言えない気がしています。
さてイトラコナゾールは、服用した患者から意識消失や傾眠、意識朦朧といった報告があり、製造工程で睡眠導入薬が混入したことが判明しました。この混入していた睡眠導入薬は、同社が発売しているリルマザホンであることが分かっています。
リルマザホンはベンゾジアゼピン系のプロドラックといわれる睡眠導入薬のひとつです。これは短・中時間作用型という比較的効果の持続時間は短いのですが、非常に速やかに効果を発揮する特徴があります。
通常の処方は2mgですが、今回のイトラコナゾール中にはこれが5mgも混入していたようです。正しい処方の2.5倍もの薬が入っていたわけですので、強い眠気や意識消失が起きても当然といえます。
抗真菌薬は色々と難しいことが多く、本来局所投与(塗り薬)が望ましいのですが、皮膚の薬の浸透性が悪いため、皮膚の奥深くにできる場合などのために、経口薬が開発されたものです。
この会社は当然自主回収していますが、福井県は重篤な健康被害または死亡の原因になり得るとして、3段階の分類で最も危険度が高い「クラス1」として処分するようです。
この会社は原因究明と製造体制について徹底的な調査を進めるとしていますが、本当に有ってはならない事故であり、私のジェネリック嫌いに拍車をかけるような事件といえます。
薬剤中に他の薬効成分が混入するということは、薬に対する信頼性を大きく損なうもので、あってはならない事故といえます。問題の薬剤は経口抗真菌剤のイトラコナゾール錠50で、医師の処方箋が必要な医療用医薬品で、爪水虫やカンジダ症の治療に使われています。
これは米国の製薬会社が開発した、イコナゾールの後発品(ジェネリック)でいろいろ問題があったようです。
私は先発の医薬品メーカに勤務していましたので、新薬開発の苦労などを全く行わないジェネリックというものに偏見を持っています。
もともとイコナゾールは非常に難溶性で、腸管吸収が悪いものを先発品は添加物などで克服したのですが、このイトラコナゾールは同じ物質とはいえ生物的同等性に問題を抱えていたようです。
余談ですが、ほとんどの医薬品は薬成分だけでなく色々な添加物を加えて薬剤を作り、吸収性や安全性を高めています。この辺りに新薬が開発されてから製剤研究の最も難しい課題が出てくるわけです。
この製剤関連の微妙なノウハウについては全く公表されませんので、ジェネリック医薬品が先発品と全く同じとは言えない気がしています。
さてイトラコナゾールは、服用した患者から意識消失や傾眠、意識朦朧といった報告があり、製造工程で睡眠導入薬が混入したことが判明しました。この混入していた睡眠導入薬は、同社が発売しているリルマザホンであることが分かっています。
リルマザホンはベンゾジアゼピン系のプロドラックといわれる睡眠導入薬のひとつです。これは短・中時間作用型という比較的効果の持続時間は短いのですが、非常に速やかに効果を発揮する特徴があります。
通常の処方は2mgですが、今回のイトラコナゾール中にはこれが5mgも混入していたようです。正しい処方の2.5倍もの薬が入っていたわけですので、強い眠気や意識消失が起きても当然といえます。
抗真菌薬は色々と難しいことが多く、本来局所投与(塗り薬)が望ましいのですが、皮膚の薬の浸透性が悪いため、皮膚の奥深くにできる場合などのために、経口薬が開発されたものです。
この会社は当然自主回収していますが、福井県は重篤な健康被害または死亡の原因になり得るとして、3段階の分類で最も危険度が高い「クラス1」として処分するようです。
この会社は原因究明と製造体制について徹底的な調査を進めるとしていますが、本当に有ってはならない事故であり、私のジェネリック嫌いに拍車をかけるような事件といえます。