ごっとさんのブログ

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新型コロナ変異の仕組みと今後の進化

2022-10-10 10:30:23 | 健康・医療
新型コロナはほぼ収束の傾向を見せており、冬になるまでは次の波も来ないといわれています。

新型コロナがインフルエンザと同じような単なる風邪となったと明言してはいませんが、感染抑え込みから経済活動優先にシフトしているのは確かなようです。

コロナウイルスは昔から軽い風邪を引き起こすウイルスとして知られていましたが、変異により今回の新型コロナ騒ぎになったものです。ここでコロナウイルスの変異の仕組みについて考えてみます。

21世紀に入ると、従来の風邪コロナウイルスに加え重症型のコロナウイルス感染症の原因となる新型ウイルスが相次いで出現しました。2002年には中国広東省でSARSが重症急性呼吸器症候群として発見されました。

この分類は省略しますが、ヒトからヒトへと容易に伝播し、世界各地に感染が広がりましたが、翌年7月までに封じ込めに成功して終息しました。29か国で8096名が感染しそのうち774名が亡くなっていますが(致死率9.5%)、日本での感染者はありませんでした。

中国に生息するキクガシラコウモリからよく似たウイルスが発見されており、その中のひとつがハクビシンやタヌキなどの動物を介してヒトに伝播したとみられています。

次が2012年9月にアラビア半島を中心に発生した中東呼吸器症候群ウイルス(MERS)です。ヒトコブラクダを自然宿主とするウイルスで、ラクダは感染しても軽症に終わりますがヒトに伝播して重篤な肺炎を起こします。

2022年までに2591名が感染し894名が死亡しており、致死率は35%とかなり高く見えますが、不顕性感染者も多く実際の致死率はもっと低いようです。

そして2019年に出現してパンデミックを起こしている新型コロナウイルスで、MERSよりはSARSに近い性質とされています。

コロナウイルスは自分のゲノムを複製するために、独自の核酸合成酵素(RNAポリメラーゼ)を持っており、ゲノム複製の際にある確率でエラーが発生することで、変異株が生じます。

ただしコロナウイルスが変異する頻度はインフルエンザの10分の1、HIVの20分の1とかなり低いことが分かりました。RNAウイルスが変異しやすいといわれるのは、宿主細胞がゲノムDNAを複製するときに働くエラー修復機構がRNAには作用せず、ミスが蓄積しやすいからです。

ところがコロナウイルスは、RNAポリメラーゼのミスを修正する校正酵素を持っていますが、それでもミスは蓄積します。その他相同組み換えといった現象も知られていますが、ヒト感染では無視できるようです。

今後新型コロナがどのように変異していくかはいろいろな説がありますが、より弱毒化するのは確かなようですので、信じて見守りたいと考えています。