もう25年も前のことですが、当時私は国出資の海洋関係の研究所に出向していました。
私の研究室ではないのですが、そこではサカサクラゲという上下逆になったようなクラゲを研究していました。このクラゲの生態は面白く、幼生のポリプという段階などからクラゲの形に変わる過程などをよく観察していました。
このクラゲにまつわる面白い思い出があるのですが、ここでは省略します。さて2022年8月にスペインのオビエド大学の研究チームは、不老不死の生物として知られるベニクラゲのゲノムを解読することに成功したと発表しました。
ベニクラゲは温帯・熱帯地帯に生息する体調わずか数ミリの小さなクラゲです。多くのクラゲを含む一般的な生物は、成長とともに組織が老化し細胞は死に至ります。しかしベニクラゲはこのプロセスとは別な道を選択していきます。
ベニクラゲの一生はプラヌラという初期幼生から始まり、この幼生は漂いながら海底でポリプというイソギンチャクのような形に姿を変え定着します。ポリプは海中のプランクトンを捕食しながら成長し、クローンを作ることで増殖しながらポリプコロニーを形成します。
このポリプコロニーからベニクラゲの子が生まれ、最終的にはメヂューサと呼ばれる姿へと変化していきます。
ここまでは一般的なクラゲと同じですが、ベニクラゲが老化したり損傷したりすると、シストという丸みを帯びた状態になり、海底でイソギンチャクのような形のポリプに姿を変え定着します。
つまりクローンを作って増殖するため、元のベニクラゲと全く同じ存在が生き続け、決して死ぬことはないというプロセスを持っています。研究チームはベニクラゲの中でも不老不死でないルブラという種と、不老不死のドルニーという2種類のゲノムを比較しました。
その結果ドルニーの遺伝子には、DNAの複製と修復、テロメアの維持、幹細胞集団の更新、細胞間コミュニケーションおよび酸化的細胞環境の減少に関連するものが2倍あるほか、テロメアが短くなることを防ぐ機能も備わっていることを見出しました。
研究チームによると、一部の生物が時間をさかのぼることができる魅力的な能力を理解することで、ヒトの老化に関連する多くの病気に対してのヒントが得られるとしています。
このクラゲのいわば再生に必要な遺伝子が2倍あることが、どういう生理的要因になるのかよく分かりませんが、クラゲは本当に興味ある生物といえそうです。
ただ私はこのベニクラゲのポリプへの回帰という生態が本当に不老不死といえるのかは、やや疑問に思っています。
私の研究室ではないのですが、そこではサカサクラゲという上下逆になったようなクラゲを研究していました。このクラゲの生態は面白く、幼生のポリプという段階などからクラゲの形に変わる過程などをよく観察していました。
このクラゲにまつわる面白い思い出があるのですが、ここでは省略します。さて2022年8月にスペインのオビエド大学の研究チームは、不老不死の生物として知られるベニクラゲのゲノムを解読することに成功したと発表しました。
ベニクラゲは温帯・熱帯地帯に生息する体調わずか数ミリの小さなクラゲです。多くのクラゲを含む一般的な生物は、成長とともに組織が老化し細胞は死に至ります。しかしベニクラゲはこのプロセスとは別な道を選択していきます。
ベニクラゲの一生はプラヌラという初期幼生から始まり、この幼生は漂いながら海底でポリプというイソギンチャクのような形に姿を変え定着します。ポリプは海中のプランクトンを捕食しながら成長し、クローンを作ることで増殖しながらポリプコロニーを形成します。
このポリプコロニーからベニクラゲの子が生まれ、最終的にはメヂューサと呼ばれる姿へと変化していきます。
ここまでは一般的なクラゲと同じですが、ベニクラゲが老化したり損傷したりすると、シストという丸みを帯びた状態になり、海底でイソギンチャクのような形のポリプに姿を変え定着します。
つまりクローンを作って増殖するため、元のベニクラゲと全く同じ存在が生き続け、決して死ぬことはないというプロセスを持っています。研究チームはベニクラゲの中でも不老不死でないルブラという種と、不老不死のドルニーという2種類のゲノムを比較しました。
その結果ドルニーの遺伝子には、DNAの複製と修復、テロメアの維持、幹細胞集団の更新、細胞間コミュニケーションおよび酸化的細胞環境の減少に関連するものが2倍あるほか、テロメアが短くなることを防ぐ機能も備わっていることを見出しました。
研究チームによると、一部の生物が時間をさかのぼることができる魅力的な能力を理解することで、ヒトの老化に関連する多くの病気に対してのヒントが得られるとしています。
このクラゲのいわば再生に必要な遺伝子が2倍あることが、どういう生理的要因になるのかよく分かりませんが、クラゲは本当に興味ある生物といえそうです。
ただ私はこのベニクラゲのポリプへの回帰という生態が本当に不老不死といえるのかは、やや疑問に思っています。