ごっとさんのブログ

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老化を制御する仕組みによって「治療」できるかもしれない

2023-07-23 10:35:22 | 健康・医療
「老化は病気であり治療できる」と老化研究の専門家が著書で述べているようですが、老化のメカニズムの解明が進んでいます。

老化のモデルマウス「ICEマウス」が作られ、これを使った研究が進められています。ICEマウスとは人工的に老化のスイッチを入れたマウスで、遺伝子の特定箇所のDNAにダメージを与えています。

このICEマウスは遺伝子そのものが変異するのではなく、遺伝子の発現の仕方が変化して起きる現象を「エピゲノム」と呼んでいます。ここでは遺伝子発現が変わるエピゲノムを面白い例えで説明しています。

DNA全体つまりゲノムを1冊の分厚い料理本に例えています。この本にはざっと32億ぐらいの文字(DNA)によって、約2万2000もの料理のレシピ(特定のタンパクの作り方)が書き込まれています。

ただしこの本にはとても厄介な点があり、仮にフレンチのコース料理を作りたいとしても、そのレシピがまとまっているわけではありません。コース料理を作るためには、あちこちのページに分散して書かれているレシピを参照しなければなりません。

そのための目印として、何種類もの付箋紙が貼り付けられています。フレンチのコース(特定のタンパク質群)を作るときは、付箋紙を目印にすればよいのです。

ところが付箋紙が剥がれてしまったり、何かの拍子に本来とは別のページにつけられてしまうと、思っていたのとは異なる料理ができてしまいます。この付箋紙がエピゲノムです。

本当ならフレンチのコースを提供しようとしているのに、不完全な料理になってしまいますが、これはレシピ本の文章そのものが書き替えられたわけではありません。あるいはコース料理なのに最初にデザートが出てきて、その後にサラダが続くなど料理を出すタイミングがおかしくなってしまうことがあります。

このように付箋紙(エピゲノム)の変化が老化の原因であるとしています。レシピ本のページがバラバラになったり、中身が書き換えられたりすると、食べられないものができてしまいます。これが遺伝子の変異の結果起こる、特定のガンやアルツハイマー病となります。

この様な疾患と老化とは根本的に異なり、食事や運動による影響、紫外線によるストレスなどによって付箋紙の位置が変わってしまい、本来のレシピ通りにいかなくなっているだけが老化ではないかとしています。

だとすれば希望が持て、付箋紙の位置がおかしくなっているだけならば、その位置を元にもどせばまた本来のレシピ通りの料理をつくれる、つまり老化を制御できるはずです。

この付箋紙を元に戻す方法は非常に専門的であり、私もよく理解できませんが、こういった考え方から老化を制御することが可能になってきているようです。

遺伝子変異ではなくその発現をコントロールするというのは新しい発想といえるのかもしれません。