ごっとさんのブログ

病気を治すのは薬ではなく自分自身
  
   薬と猫と時々時事

ガンの転移を分かりやすく説明すると

2024-10-22 10:35:29 | 健康・医療
ガンの怖さのひとつに転移と再発があります。私の大学時代の友人が一昨年肺ガンを発症してしまいました。

もう高齢で持病もあるため手術が難しかったのですが、幸いがん専門の大病院だったため、そのガンに特化した抗ガン剤治療を受けていました。ところが昨年同じ肺の別の場所に新たなガンが見つかりました。

当初これは転移ガンとみていたようですが、詳しく調べたところ全く異なるガンの再発ということが分りました。そこで新たな抗ガン剤の臨床試験に加わり治療していましたが、残念ながら昨年10月亡くなってしまいました。

この様に最先端の治療を受けても良くない結果になってしまうのも、ガンの怖いところといえそうです。ここではガンの転移の話ですが、ガン細胞が血管やリンパ管など全身に張り巡らされた管を通って他の臓器に飛んでいく現象です。

移動した先でガンが成長し、新たな塊を作ります。たとえば大腸ガンが肝臓に転移した場合、肝臓ガンが新たにできたと考える患者は多いようです。しかし実際は、大腸ガンが肝臓に転移すると、肝臓にできたガンは大腸ガンの一部と考えます。

もともと私はガンは遺伝子変異による細胞の病気という説に賛成していますので、現在のようにがんの発生臓器によって治療法を決めるというのは反対です。つまり同じ肝臓ガンであっても、AさんとBさんでは異なるはずで、ガンの種類によって治療法を決めるべきと思っています。

ただ詳しいガンの性質を調べるためには、組織検査が必要で通常の病院では難しいことも確かです。さて前述の肝臓ガンですが、元の大腸ガンと同じ特徴を持つガンですので、大腸ガンの治療が効くはずです。

大腸ガンを切除した後、肝転移という形で再発した場合は、肝臓にしかガンがない状態ですが、大腸ガンに特化した抗ガン剤治療を行います。

ついでに薬屋の立場から書きますと、抗ガン剤を開発した場合、いわば無数の種類があるガンの中で比較的胃にできやすいガンに効けば、胃ガンの治療薬として発売します。

現在は分子標的薬など、ガンの種類によって効果がある薬も出ていますが、通常の病院ではほとんど使われていないのが現状です。肝臓から現れるガンを原発性肝ガンとよび、大腸ガンの肝転移である転移性肝ガンとは医学的に区別しています。

実際は転移の有無は非常に難しい問題といえるようです。CTなどの画像検査では数ミリの大きさでないと病変を検出できないためです。

それでも原発ガンに効果のある薬が見つかっていれば、気長にそれで治療するのが、現在では最も確実な治療法といえるのかもしれません。