ごっとさんのブログ

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胃ガンの手術で胃の全摘出はしないほうが良い理由

2025-03-14 10:36:29 | 健康・医療
最近かみさんの友人に胃ガンが見つかり、胃の3分の2ほどを取る手術をしました。

タイトルにあるように、胃の全摘出はよくないという説が出ているようですが、彼女の場合はこういった理由ではなさそうです。

胃は単に食べたものを一時的にためておく袋ではなく、食欲をつかさどる臓器でもあります。ヒトは食べることができないと、栄養が取れず力も出ず免疫だって保たれません。胃を守ることは食べるを守ることで、胃を残すことが重要なようです。

胃袋が大きければたくさん食べられ、胃が小さいと食べられない。そんなイメージを持っている人がいるかもしれませんが、実際にはそのような事実はなく、胃の大きさは食欲には関係ありません。

同様に胃がんの手術で、胃を大きく残すほど食欲も維持できるのかといえばそのようなことはなく、予後を大きく左右するのはどこを残すかということのようです。可能な限り残すことを検討すべき胃の一部は、胃の上部および胃穹窿部と呼ばれる場所です。

大き目の餃子程の大きさのこの小さな部位こそ、食欲増進ホルモングレリンが分泌される場所です。胃穹窿部はグレリンを分泌し、グレリンが食欲をコントロールする脳の視床下部に作用することで食欲が刺激され、空腹感が生まれます。

グレリンは主に食べることや日内変動(朝、昼、晩とおなかがすきます)によって分泌量が調節され、胃穹窿部が残っている場合、胃が空になるとグレリンの量が増えて、食べ始めると減少します。

手術で残った胃がどんなに大きくても、グレリンを 分泌する胃穹窿部がなければ食欲は維持されず、食べるということに障害が生まれます。

ガン研有明病院が調べたところでは、胃をすべて切り取る胃全摘の次に体重減少率が大きかったのは、胃を60%も残すことができる噴門側胃切除でした。噴門とは食道とつながる上方部分のことを言います。

噴門側胃切除では、グレリンを分泌する胃穹窿部も一緒に切除してしまい、グレリンが分泌されなくなってしまいます。そのため食欲が維持できず、体重減少につながってしまいます。

一方残る胃は30%ほどと、胃の下部を大きく切除する幽門側胃切除や、胃穹窿部の餃子ぐらいの大きさしか残らない亜全摘(20%程度しか残らない)のほうが、切除部分は大きいもののグレリン分泌の場所である胃穹窿部には手をつけないため、体重減少はわずかでした。

胃の大部分を切除したとしても、胃穹窿部を守り食欲を守る手術方法が、食べるを守ることにつながることがわかりました。

私は最近あまり食欲がなく、量も食べられなくなっていますが、胃穹窿部に何か問題があるのかもしれません。