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細胞が置き換わる現象の新たな「細胞死」を発見

2022-05-06 10:25:42 | 自然
新陳代謝という言葉は、新しいものに置き換わるという意味で本来の細胞だけでなく色々なところで使われています。

この置き換わりのためには従来の細胞が死ぬ必要がありますが、この新しいパターンを理化学研究所などの研究チームが明らかにしたと発表しました。

これは今までの常識を覆す新しい細胞死で、この現象が起きる部分が黒くなることから「エレボーシス(暗黒の細胞死)」と命名しています。

細胞死には細胞の自殺といわれもっともよく研究されている「アポトーシス」のほかに「ネクローシス」や「オートファジー」が知られています。オートファジーは細胞の自食作用として最近は研究も活発になり、その一部はこのブログでも取り上げてきました。

ネクローシスは壊死と呼ばれていますが、細胞障害の形態で機械的障害や化学剤、病原体などに起因する制御されない細胞死と定義されています。

動物の体内では特に腸や皮膚といった新陳代謝が盛んなところでは、多くの細胞が置き換わります。腸ではアポトーシスという現象が起きていると考えられていました。しかし研究チームは腸でアポトーシスを起こしている証拠が少ないことから、この定説を疑問視していました。

そこでショウジョウバエを使い、腸を含めた体内でアポトーシスを止める操作をしました。この辺りショウジョウバエは色々な研究が進んでおり、簡単な操作で目的とするタイプを作製できるようです。

腸でアポトーシスが起きているのであれば、この操作によって細胞の置き換わりが止まるはずですが、実際には止まらず健全性が保たれることを突きとめました。

別の細胞死が起きていることを示しており、詳細に調べてみると腸内の一部に、タンパク質の分解機能を持つ酵素が発現している細胞を見つけました。この細胞を観察すると、通常とは異なりつぶれたような形で、細胞内の小器官が失われ死にゆく過程であることが分かりました。

細胞を光らせて細かく観察しようとしても困難でその部分だけ真っ黒に見えることから、古代ギリシャ語で暗黒を指すエレボスから「エレボーシス」と名付けました。この細胞の周りには、腸の新しい細胞になる幹細胞が集まり、置き換わることが観察されました。

今のところ現象が観察されただけで、詳細なメカニズムや関わる遺伝子などは不明です。研究チームは、ヒトでも確認されれば細胞死という現象の枠組みが大きく変わる可能性があるとしています。

この第4の細胞死といえるエレボーシスの発見が今後どう応用されるかは分かりませんが、新陳代謝の新しいメカニズムが明らかになるのかもしれません。


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