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全脳的睡眠と局所睡眠、最近の脳科学のはなし

2021-12-18 10:25:37 | 自然
若いころ徹夜すると(ほとんどが麻雀でしたが)、その後2,3日体調が悪く、睡眠が重要と考えていました。

中年になってから、ほぼ徹夜でも2時間程度眠るとあまり影響が出ず、睡眠とは不思議なものだと興味を持っています。

現在の脳科学では睡眠は「全脳的な脳波の周波数と波形」で定義されています。つまり寝ているか起きているかは、脳波を測定しないと分からないことのようです。

覚醒している状態から深く眠っている状態まで脳波の周波数は段階的に遅くなり、その途中でいくつかの特徴的な波形の脳波が出現することが明らかになっています。これは1968年に脳波の周波数や波形の組み合わせで睡眠と覚醒の区別や睡眠の深さを判定するルールを提唱し、現在でも世界中で使われています。

脳は膨大な数の神経細胞からなり、神経細胞が活動する際に電流が細胞中を流れます。一つの神経細胞から出る電気活動は微弱であるため頭皮上から測定できないのですが、それが何十万も重なることで測定できるレベルまで増幅されます。

つまり脳波は多数の神経集団の活動全体を反映しているものです。現在脳波は左右の頭頂部、後頭部の合計6カ所で脳波を測定しています。

脳の深底部(脳幹部)から脳の一番表面にある大脳皮質に広がる多数の覚醒系神経回路が活発になれば覚醒し、抑えられれば睡眠に入りますので、代表的な大脳皮質領域に近い頭皮6カ所の脳波を測定すれば大まかに知ることができるようです。

ところが睡眠と脳機能との関連について理解が深まると、全脳的な睡眠判定では説明が難しい現象があり、その代表が「半球睡眠」です。半球睡眠とは左右の大脳半球が片方ずつ交代で眠ることで、実際に脳波でも片側は覚醒時の脳波、反対側は睡眠時脳波が同時に出現します。

最近では脳の小さな局所で、睡眠状態の深さに差があることが分かってきました。覚醒中に脳の局所を使うようなタスクをかけると、当日夜の睡眠中にその脳部位がより深く眠るという現象が発見され、「局所睡眠」と呼ばれるようになりました。

例えばシューティングゲームを集中的に訓練すると、頭頂葉をよく使うため夜の睡眠中にその部位に深いノンレム睡眠が増加するのです。また逆に使用していない部位では深い睡眠が減少することも分かってきました。

この測定のためには非常に多くの電極が必要になり、睡眠の邪魔をしてしまうなどの問題もあるようです。

現在の研究では、起きているのに一部が眠っているかどうかまでは分からないようですが、こういった脳の疲労回復の手段がだんだん明らかになりつつあるようです。


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