ごっとさんのブログ

病気を治すのは薬ではなく自分自身
  
   薬と猫と時々時事

抗生物質が効く時代はあとわずか

2019-07-14 10:27:37 | 健康・医療
コロンビア大学の医療センターが、大腸菌の特異な変異体のせいで体調を崩した患者が増加していると発表しました。

大腸菌は誰の体内にも多くいるありふれた細菌で、腸内にいる限りは無害ですが、食物や指などを経由して血中に入れば命を奪う変異体となることもあります。

抗生物質が効かなければ、感染した人の半数が2週間以内に死亡します。奇跡の薬と呼ばれたペニシリンが第二次大戦で多くの兵士の命を救って以来、既に100以上の抗生物質が発見され、臨床現場で使われてきました。

近年大腸菌だけではなく、ブドウ球菌などでも次々と抗生物質の効かない耐性株が登場しています。ある研究によれば、2007~15年で耐性菌の感染による死亡者数は5倍になってと言われています。

最近もニューヨークとシカゴで、薬剤耐性を持つ真菌のカンジダが確認され、これに感染した患者の半数は90日以内に死亡するといいます。

アメリカ疾病対策センター(CDC)の推計によれば、主要な抗生物質に対する耐性を持つ細菌または真菌の感染する患者は全米で年間200万人でうち2万3千人が死亡しているようです。

またWHOの予測では、耐性菌による死亡者数は世界全体で年間70万人程度ですが、2050年までには1000万人に達すると予測しています。そうなれば耐性菌はガンや心臓疾患、糖尿病などを凌駕して、人類にとって最大の死亡原因となります。

現時点で耐性菌の犠牲になりやすいのは、高齢者や体力の弱った患者ですが、リスクは広がっているようです。感染症の専門家は「このままだと臓器移植も人工関節置換術などの一般的な手術もできなくなる」と警鐘を鳴らしています。

耐性菌の問題の1つは、その進化の速さで、人間は15年ほどでようやく繁殖能力を持ちますが、大腸菌は20分で2倍に増殖します。人類には何百万年もかかる進化をわずか数年で成し遂げ、薬剤への耐性を獲得してしまうことになります。

抗生物質を投与された人体は、それらが進化するための完ぺきな舞台となり、新しい抗生物質が使われると、約1年後にはそれに耐性を持つ細菌が現れるようです。

この記事ではもうすぐに抗生物質の効かない耐性菌だらけになるため、抗生物質以外で細菌を殺す手法の研究を紹介しています。

私は主に抗生物質を研究してきた者として、この様な警鐘は全く杞憂にすぎないと思っています。まず耐性菌はなぜ出現するかというと、突然変異によって遺伝子が一部変異するためです。

これは突然変異という名前の通り、あくまでも偶然であり、抗生物質があるからそれに耐性になるように変異するという事はあり得ません。この辺りは長くなりますので次回に続きます。


最新の画像もっと見る

コメントを投稿