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長寿におけるmTOR阻害薬とカロリー制限の関係

2024-12-04 10:31:50 | 健康・医療
この歳(77歳)になると、色々なところで老いを感じる様になります。週に1回テニススクールに行っていますが、70代になって体が本当に動かなくなりました。

ラリーをしていても、球が来そうなところに先に動くのですが、その1歩が踏み出せなくなっています。

最近ラパマイシン(mTOR阻害薬)を使うと線虫やマウスで寿命が延びることが報告されています。これがヒトではどうかに興味がありますが、2014年にそれに近い研究結果が報告されました。

ラパマイシンの誘導体であるエベロリムスと呼ばれるクスリを66歳以上の人に少量投与したところ、インフルエンザワクチンに対する反応が20%改善されたことが報告されました。2018年にはそれに続く研究結果が公表されています。

健康な65歳以上の高齢者264人を対象に、ラパマイシンの誘導体を含む2種類のTOR阻害薬を6週間投与しました。内容量と阻害薬の組み合わせにより5群に分けて1年間観察して比較しました。

ラパマイシン誘導体と別のTOR阻害薬を併用して投与した群は、風邪などの呼吸器疾患を40%減少させ、インフルエンザワクチンによる抗体産生能が上昇したとしています。

専門家によると、細胞内の栄養状態を監視して細胞増殖・分裂のタイミングを決めるmTORを働かせないようにすると、細胞は栄養不足と判断して分裂に使うエネルギーを節約してオートファジーに振り向けます。

すると細胞内ではタンパク質を新たに合成せず、細胞内の不要なタンパク質などを再利用します。その結果、細胞の増殖のスピードは緩やかになり、老化も遅くなります。つまりmTORの活性化を抑えることが寿命の延長に役立つ可能性があるとしています。

ヒトはカロリーを制限した方が、寿命が延長するという考え方があります。実際栄養失調にならない程度のカロリー制限を続ければ長生きすることは、様々な実験で実証されています。

mTOR阻害薬であるラパマイシンがmTORを働かせないようにすることは、カロリー制限をしている状態にするのと同様と考えられます。現代はいつでもどこでも食べ物が手に入るため、ヒトが生涯にわたってカロリー制限を続けるのは困難です。

そのためカロリー制限の影響は、短期的な研究とごく少数の経験談でしか語れないのが現状です。最近はカロリー制限をずっと続けなくても、短期間でくり返すことでかなりの効果が得られることが分っています。

この時特に注目されたのはIGF-1の濃度が低下したことです。IGF-1はインスリンによく似た化学構造を持つ成長ホルモンの一種で、主に肝臓で作られます。食べて栄養成分が血中に増加すると検知して各細胞を活性化する働きがあります。

mTOR阻害薬にしても、断食によるIGF-1への影響にしても、細胞が栄養不足と認識させることが長寿につながるといえるようです。 


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