ごっとさんのブログ

病気を治すのは薬ではなく自分自身
  
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薬が市場に出るまで 臨床試験

2015-04-23 10:12:40 | 
前回書いたような前臨床試験、いわゆる動物実験で安全性が確認できると、いよいよ人を対象にした臨床試験が始まります。臨床試験は3段階に分かれており、Phase I(第1相)、PhaseⅡ(第2相)、Phase Ⅲ(第3相)と呼ばれています(第2相は前後に分けることもあります)。

第1相試験は、健康な人に投与し、血中濃度の推移や排泄など動態から人間に対する投与量の設定、および副作用などが出るかどうかを見るためのものです。通常1,2週間ですので、被験者はホテルに缶詰めになり、定期的に採血されたり問診を受けるだけです。昔はこれは学生の良いアルバイトだったようです。詳しい報酬などはよくわかりませんが、大学に連絡すると必要な人数を集めてくれて、簡単に開始することができたようです。これがなぜ禁止されたのか分かりませんが、たぶん新薬開発のためといっても人体実験であることは確かですので、その辺から学生を使ってはいけないになったのかもしれません。しかし一般の人を募集するのは非常に手間がかかり、同じような問題が出る可能性もありますので、現在は開発する企業の開発担当者の中から選んでいるようです。私が担当した薬剤のころは、まだ学生アルバイトの時代でしたので、この試験を受けたことはありません。

このフェーズⅠによって、治療の時の最適投与量が出ますので、もちろん副作用などが全くでない場合ですが、次のステップに進みます。
フェーズⅡは、いよいよ患者さんに投与して薬がどの程度効くかを見るステップです。当然どこかの病院に入院している患者さんということになりますが、臨床試験に必要な患者さんを確保する必要があります。
やや裏話風になりますが、日本の医療関係者は、かなり封建的な部分が残っています。ですからどの診療科でも、ボス的な先生が2,3人必ずいるわけです。この先生に引き受けてもらえると、いわば傘下の病院すべてが協力してくれるという図式が出来上がっています。時々何か問題が起きると、医者と製薬企業の癒着など報道されますが、ある意味やむを得ない状況といえます。臨床試験をやろうとしても、何の人脈もなければ、患者さんを確保すること自体難しくなってしまいます。一つの病院に同じ病気の患者さんが、何十人もいるということはありませんので(病気の種類にもよりますが)、何百人かにお願いすることはとても無理になるわけです。

このような経緯を経て、フェーズⅡがスタートするわけですが、病気の患者さんに効果が出るかを見るといっても、いろいろな問題が残っています。この辺りは次回に続きます。

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