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ナスのヘタに含まれる成分に抗腫瘍効果

2024-01-22 10:35:02 | 
身近な食材などに予想外の薬理作用があることは多いようです。こういった天然有機化合物の研究は進んでいますが、結局昔からの言い伝え的なものから有用物質が見つかることが多々あります。

今回はナスのヘタに含まれる、抗腫瘍効果物質の話です。名古屋大学の研究チームの実験で、ナスのヘタに含まれる天然化合物に子宮頸ガン細胞への抗腫瘍効果があることが明らかになりました。

同じウイルス性の尖圭コンジローマで効果が見られたことから、ヒトの子宮頸ガン細胞に応用し投与した結果、細胞死を誘導することが確認されたとしています。子宮頸ガンと尖圭コンジローマは型の異なるヒトパピローマウイルス(HPV)から発症する性感染症です。

ナスのヘタはHPVによってできる尋常性疣贅という手足のイボをとる民間療法薬として使用していた経緯があります。名古屋大学などの研究チームは、ヘタの抗腫瘍効果の可能性に着目し、先行して尖圭コンジローマへの作用に関する研究を実施しました。

ヘタをエタノールに漬け、その液体を投与すると尖圭コンジローマを抑制することを確認していました。尖圭コンジローマでの研究でナスのヘタから抽出された天然化合物「9-oxo-ODAs」を化学メーカーから取り寄せ、マウスの体内や検体として摘出したヒトの子宮頸ガン細胞に作用させたところ、アポトーシスが認められました。

この化合物の濃度を上げるほど細胞死が進むことが分かり、抗腫瘍効果が認められました。この9-oxo-ODAsの構造を調べたところ、エノンという部分構造を含む長鎖脂肪酸で、こんな簡単な化合物に抗腫瘍効果というのは驚きでした。

子宮頸ガン細胞は正常の周期と異なり、乱れた周期になるため、異物と認識されて排除されることなく増殖します。近年のゲノム解析により、子宮頸ガンの発現・進行に関与するガン遺伝子であるE6とE7というタンパク質が出てこないようにすれば、子宮頸ガンは完治が望めることが分かっています。

研究チームは、9-oxo-ODAsが子宮頸ガン細胞の周期の乱れを整えることで異物として認識させることや、E6、E7の発現を抑えるよう働きかけることでアポトーシスを誘導できているのではないかとの仮説を立てています。

今後は実験データの蓄積を行い、産学連携などで治療薬に結び付けられるように研究を続けるようです。子宮頸ガンにはワクチンや自治体検診といった防御の機会がありますが、前ガン病変の段階で例えば塗り薬で治療できれば、HPV疾患への有効な治療法になるとしています。

ナスのヘタからこういった治療薬が出るという事は、自然界の植物は有用物質の宝庫と言えるのかもしれません。


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