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医療過誤と医療費の内部調査研究

2021-09-04 10:25:18 | その他
病因での医療過誤は命に直結しているだけに注目していますが、なかなか表に出るものではありません。

名古屋大学の医学部付属病院患者安全推進部が、2011年度から2017年度の間に、名古屋大学付属病院で起きた医療過誤の中で、病院側に過失があると判断し、病院が負担した医療費を推計しました。

医療過誤の研究は原因究明や司法判断に関するものがほとんどで、今回のような研究は極めて稀となっています。ここでは病院が負担した医療費という面を強く出していますが、どのような医療過誤があったかを中心にまとめてみます。

この研究は期間内で医療過誤によって発生した医療費、発生部署、発生原因を明らかにし、対策を講じるべき優先順位を提示することを目標としています。

集計と分析にはインシデント報告を義務付ける院内のシステムを活用し、病院に院内弁護士を含む医療安全部門が「過失性あり」と判断した事例を抽出しています。この7年間に、医療過誤で発生した有害事象は合計197件でした。

名古屋大学付属病院と言えば、大病院の中でもしっかりした病院というイメージがありましたが、この件数は予想外に多いような気がします。この件数は医療従事者が医療過誤と認め報告した件数ですので、小さな医療過誤はもっと多いのかもしれません。

症例数が最も多かった発生場所は病棟(82件)で全体の41.6%を占めます。以下手術室(49件、24.9%)、外来部門(35件、17.8%)、放射線部門(22件、11.2%)と続いています。

主な原因は報告頻度の高い順に、薬剤投与ミス(63例、32.0%)、術中損傷(21例、10.7%)、検査データの誤った取得(19例、9.6%)、遺残(手術中にガーゼなどを残してしまうこと、18例、9.1%)となっています。

手術中に誤って他の臓器などを傷つけることはありそうですが、遺残というカテーテルやガーゼなどを取り忘れることがこんなにあるとは思いませんでした。

手術は完璧を求められるものでありますが、ある程度のミスはやむを得ない気もします。しかし何かを置き忘れるというのは、基本的なことができていな気がして医療機関の信頼を損なうものではないでしょうか。

この研究に当たった研究者も、カテーテル遺残、血管損傷などカテーテル治療に関する医療事故防止に注意を払うべきとしています。また薬剤投与ミスも医師だけではなく病院の薬剤師もいるはずが、チェック体制ができていないのかもしれません。

これにかかった医療費も総額3050万円で、これが多いのかどうか判断できませんが、病院に大きな損失を与えていることは確かです。

これはひとつの病院の医療過誤の詳細ですが、日本全体でみるとどんな件数になるのか、考えてみると恐ろしい研究と言える気がします。


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