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ネコ腎臓病治療薬開発に寄付が集まる

2021-09-03 10:25:37 | 
東京大学医学系研究科の研究チームが、ネコの腎臓病の治療薬を見出したという話は、1か月ほど前にこのブログでも紹介しました。

すでに治験薬の製造のための開発はほぼ終了するところまで来ていましたが、コロナウイルスの影響で研究費不足に陥り、開発は中断されてしまったようです。

こうした経緯を伝える記事がインターネットで配信されると、わずか1カ月で東京大学への寄付が1万2600件も寄せられ、総額は1億5500万円にもなりました。これはいかに多くのネコの飼い主たちが、腎臓病で悩んでいたり苦しんだ経験があることを表しているのでしょう。

私の家でも過去に何匹か腎臓病で猫を失っていますし、現在もその予備軍的な猫が出てきてしまいました。13歳ぐらいになる猫ですが、血液検査では腎臓の数値に異常はありませんが、最近多量の水を飲むようになりました。

このネコはマーキングをする癖があるのですが、その尿の匂いが薄くなってきました。こういったことは多分腎臓病の前駆症状ではないかと思っていますが、残念ながら打つ手はなく経緯を見守るしかありません。

今回開発した治療法について簡単に書きますが、研究チームはヒトのAIMというタンパク質を研究していました。このAIMは腎臓のネフロンという組織にたまるゴミをきれいにする性質を持っています。

ネフロンにごみが溜まると、組織が壊死し、腎臓病となってしまうようです。AIMはほとんどの動物がもっていますが、ネコのAIMはこのごみを掃除する能力ないことが分かりました。そこで活性のあるAIMタンパク質をネコに投与すると、腎臓病を防ぐことができたのです。

こういった動物薬の治験はどの程度の規模で行う必要があるのかなど詳しいことは分かりませんが、やはり億単位の資金が必要になるようです。研究チームによるとこの寄付金で治験を開始すれば、順調にいった場合は2年後ぐらいには承認販売になるのではないかとしています。

ネコの腎臓病がしっかり管理できれば、現在のネコの寿命の2倍程度の30歳ぐらいまで生きるのではないかとしています。私が若干気になるのは、この治療薬がタンパク質製剤となることです。

投与法が注射しかなくなるのはそれほど問題ではないのですが、やはり価格がどこまで抑えられるかという点です。一般に化合物の製剤に比べてタンパク質製剤は、製造法や精製工程が複雑になるため、どうしても高価になってしまいます。

またこの薬のメカニズムから見ると1回打てばよいということではなく、ある程度の反復投与が必要になりそうです。

そういった懸念がありますが、いままで点滴ぐらいしか対処法が無かったネコの腎臓病に治療薬が出るというのは大きな期待が持てることです。私も東京大学に少額の寄付をしようかと考えています。


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