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異なるタンパク質の正しい合成法解明

2020-06-18 10:22:43 | 自然
ヒトの身体は数十兆という途方もない数の細胞でできており、生きているのは細胞がそれぞれの役割を果たしているからと言えます。

この細胞の中で何が起こっているのかについては、まだまだ未解明なこともたくさんあるようです。

横浜市立大学や北海道大学などの研究グループは、DNAの情報がまるでリレーのようにバトンをきちんと渡すように伝えられて、タンパク質合成が始まることを明らかにしました。

核の中にあるDNAは分子が鎖のようにつながっており、通常はヒストンと呼ばれるタンパク質に巻き付きコンパクトにたたまれ、染色体として核の中に収納されています。DNAはすべてが遺伝情報を伝えるわけではなく、長い鎖の所々にある遺伝情報を含む遺伝子と呼ばれる部分の情報を基にさまざまなタンパク質が作られます。

遺伝子の情報がmRNAという運び屋のような役目をする物質に写し取られてタンパク質を合成する酵素に届けられます。そしてmRNAの情報を基にタンパク質が作られます。

スイッチオンの知らせを受け取った合成装置RNAポリメラーゼ(Pol2)はDNAの情報を基にRNAの合成を開始し、これを転写と言います。しかしPol2は間違った分子を取り込んだり、働きを抑制されることがあり単独ではスムーズに転写することができません。

ここで止まってしまった転写を再開してRNAの合成を再び促すタンパク質を呼び寄せるものがあり、そのタンパク質がMED26と呼ばれるものであることを突き止めました。

DNA上には様々なタンパク質の設計図となる遺伝子領域があり、MED26は領域ごとに異なったRNAの合成促進に必要なタンパク質を選択し、呼び込んでリレーのバトンんを手渡すようにRNA合成装置Pol2に渡しています。

これ以後はやや複雑でわかりにくいため要旨だけにしますが、2種のタンパク質をうまく使い分け、新たに作られるRNAをうまく設計していくというメカニズムです。

これによってRNAがかなり安定なもの(これを設計図としてタンパク質が大量に必要な場合)と簡単に分解する(タンパク質が少量でよい場合)などに作り分けていることが分かりました。

通常mRNAは短時間で分解されるものですが、転写の際の何種類かのタンパク質からの情報により、その分解時間が調節できるような構造に導かれているようです。

こういったメディエーターと言われるタンパク質が、色々な病気の発症メカニズムに関係することも分かっており、こういった転写の仕組みを研究することで、病気の発症メカニズムを詳しく解明することが期待されています。

現在でもDNAの転写からタンパク合成に至る過程は、まだまだ未解明な部分が多いようです。


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