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アトピーかゆみ低減抗体開発

2017-03-07 10:32:24 | 健康・医療
中外製薬が開発した抗体「ネモリズマブ」が、アトピー性皮膚炎のかゆみを大幅に軽減することを国際共同治験で実証したことを京都大学などの研究グループが発表しました。

さらに大規模な治験を行った後、早ければ2019年に新薬の許可を厚生労働省に申請したいと言います。

研究グループによるとアトピー性皮膚炎の患者のかゆみには、タンパク質のインターロイキン31(IL31)が関与していることが、欧州の研究者らによって報告されています。ネモリズマブはIL31と結びつく受容体に働きかけ、IL31の作用を消してしまうことを目指して開発されました。

アトピーのかゆみには低分子のヒスタミンが関係しているとされ、抗ヒスタミン剤などが用いられていますが、それほど良い効果は出ていないようです。この疾患はかなり患者数も多く、皮膚のバリア機能が損なわれ、そこに細菌が増殖しやすくなり悪化するようです。
特に単純ヘルペスが感染すると、顔面や上半身などに小さな水泡が多発し痛みまで伴うようです。

私の息子も大学生になってからアトピーを発症しましたが、やはりかゆみが強いようでかくと悪化することが分かっていても、無意識のうちにかいてしまうようです。これは大量の保湿剤と抗アレルギー薬で何とか軽減できました。

ここでのインターロイキンというのは、サイトカインと呼ばれる情報伝達タンパク質で、発見順に番号が付けられています。炎症に関連するものとしてはIL6がよく出てきますが、これはマクロファージを刺激して急性反応を誘導するものです。今回初めてIL31というのを見ましたが、短い時間にこんなに種類が増えているのは驚きです。

今回の治験は国内の3病院と米国、英国などで実施され、中程度から重症の成人約200人を対象に、12週間にわたって行われました。ネモリズマブ0.5~2ミリグラムを4週に1度注射した場合、開始から12週後には約6割の患者で50%以上かゆみが軽減したようです。

かゆみが軽くなるとかくことが減って症状が改善するほか、睡眠に入るまでの時間も短縮され、特に副作用は出なかったようです。この薬は抗体医薬ですので、注射でしか投与ができない欠点はありますが、月1回程度であれば実用化できるのかもしれません。

ただし抗体医薬については抗ガン剤のところで述べたように、そう簡単に製造できませんので、どうしても高価になり薬価がどの程度になるのかも気になるところです。

ネモリズマブは、早ければ再来年ぐらいには薬価収載から臨床現場で使われる可能性もありますが、かゆみというのは痛みと同様かなりつらい症状ですので、やや問題はありそうですが早い実用化を望みます。

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