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眼球に異状ないのにまぶしい

2020-08-04 10:35:53 | 健康・医療
瞳孔(ひとみ)は明暗に反応して小さくなったり、大きくなったりします。

何らかの原因でその反射機能が働かなくなり、たとえば瞳が開いて(散瞳して)絞りが開いたまま固定しますとまぶしさを感じます。まぶしい状態を専門用語では「羞明」といいます。

白内障や角膜の病気など眼球の異変があっても、光が苦手、光を避けたいという反応が出ることがあります。このように羞明は主に目の異変として従来取り扱われてきましたが、目に異常はないのに高度な羞明を持つことがあります。

中枢性羞明はまだ公認された医学用語にはなっていませんが、目ではなく脳の機能の異変で羞明が生じることがあります。

羞明とひとことで言っても、明るさに対して敏感な場合でも、部屋の中では良いが外に出るとまぶしさが増強するケース、逆に自然光は大丈夫だが屋内の蛍光灯やLEDの光に反応してしまう場合など、性質や強さはまちまちです。

高度の羞明を持つ人の比較的共通な医学的特徴は、注視努力の企図や遂行で症状が出現し悪化する、という点です。例えばパソコンやスマホを見続けるとまぶしさや痛みが生じ、それを我慢して続けると頭痛、吐き気、めまいなどの身体症状も出て、なかなか回復しなくなります。

眼科医は眼球に異常がないで済ませ、神経内科や精神神経科の医師は、薬の一過性副作用や精神疾患の部分症状として、「羞明」を正面から取り組むことはありませんでした。

20年ほど前から「眼瞼痙攣」という脳の誤作動で生じる、目を自在に開けることができない病気で、まぶしい、痛いという訴えが多くなってきました。また典型的な眼瞼痙攣ではなくとも、常時まぶしさや眼の痛み悩まされている例が増えています。

そうした患者の大半は視力や視野検査には異常がなく「眼球使用困難症候群」と総称されています。こうしたケースの中には、仕事を続けられない、人の手を借りないと移動できないという、生活上は明らかな視覚障碍者なのに、視力や視野だけで評価される現行法では視覚障害と認定されません。

厚生労働省の2020年度障碍者総合推進事業の中に「羞明の症状により日常生活に困難をきたしている人に対する調査研究」が指定課題に採用され、実態調査が行われることになりました。当然まだ治療法は確立しておらず、眼瞼痙攣の薬を応用するにとどまっています。

これから原因の解明や、対症療法が検討されていくはずですが、眼科医がこの病気を分かっていないため(目に異常がないため)手の打ちようがないというの現状のようです。

まだ症状の頻度や患者数も分かっていませんが、一種の現代病として取り組まなければいけないような気もします。


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