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老化や動脈硬化などの原因となる慢性炎症

2024-07-24 10:34:57 | 健康・医療
炎症には赤く腫れて熱を持ち痛むといったイメージがありますが、これはケガをした患部や風邪をひいたときに喉に生じる急性炎症の症状です。

これは体に侵入してきた異物に対する一過性の防衛反応です。厄介なのは体内でくすぶり続ける「慢性炎症」で、老化を促進させるとともに、老化の大きな特徴のひとつでもあります。

慢性炎症は沈黙の殺し屋といわれるように、自覚症状がほとんどないまま、様々な臓器に機能不全を進行させます。加齢とともに免疫にかかわるタンパク質、炎症性サイトカインが血液中に増えてきます。

また高齢者の細胞は、若い人の細胞に比べて炎症性サイトカインを多く作る傾向があるようです。老化に伴う慢性炎症の原因として、免疫の老化、組織の損傷に伴う自然免疫系の活性化が挙げられます。

分裂を停止した老化細胞から放出されるSASP(細胞老化随伴分泌現象)因子も炎症を誘導します。老化に伴うミトコンドリアの機能不全によって生み出された活性酸素の影響も考えられます。

加齢による炎症関連遺伝子の発現上昇も関与していて、ガン研究会などは老化した細胞では、正常な細胞には見られないRNAが多く発現し、炎症に関わる遺伝子のスイッチを入れることを報告しています。

炎症がくすぶりつづけると、炎症の悪影響が細胞同士のシグナルのやりとりに関わるサイトカインを介して全身に広がるため、様々な病気のもとになります。さらに組織が線維化して硬くなるなどの変化を起こして、機能が低下するとしています。

発症や進展に慢性炎症が関わっている疾患は多く、ガン、動脈硬化、糖尿病、喘息、クローン病、アルツハイマー病、うつ病などが挙げられます。

動脈硬化にはいくつかのタイプがありますが、大動脈など比較的太い動脈にプラークと呼ばれる粥のような病変ができ、動脈が狭くなる粥状動脈硬化は、狭心症などの原因になります。

プラークを覆う被膜が破れると血栓が形成され、血栓によって血管が詰まると心筋梗塞や脳梗塞を引き起こします。粥状動脈硬化の発生、進展、有害事象発症には、血管壁の慢性炎症が関わっています。

プラーク内の炎症が続くと、マクロファージからの分泌物によってプラークが破綻しやすくなると考えられています。慢性炎症は肥満や糖尿病とも大きなかかわりがあります。肥満では、脂肪組織に持続的な炎症が見られます。

大阪大学のマウスによる実験によって、高カロリー食で脂肪細胞が刺激を受けると、脂肪組織で炎症を誘発する分子が作られて持続的な炎症が起こり、この慢性炎症が全身の細胞に働いてインスリンの効きの低下をもたらすことが報告されています。

この様に何でも慢性炎症のせいにするような感じもしますが、高齢者には危険なことのようです。


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