武雄市は、来年4月から図書館運営をレンタルソフト店「ツタヤ」に運営を指定管理者として委託する方針を発表しました。
新聞報道によれば、開館時間を1日4時間延長し、年中無休、DVDやCDは有料で貸し出し、雑誌や文具も販売、カフェも設置するそうです。加えて、貸し出しカードは「ツタヤ」の「Tカード」を導入。本を借りれば「ツタヤ」で使えるポイントがつくオマケまで。
利用者にとっては、時間が延長されて便利な面もあるようですが、どう見ても、図書館を営利目的の企業に売り渡した様にしか見えません。
私は、今回の計画は、図書館のもつ本質的思想が欠けた施策だと思います。
「安く運営できればいい」では困ります。
日本図書館協会は、「指定管理者制度はなじまない」としています。
理由は、「専門性の蓄積や長期的視野での蔵書、資料収集」が保証されないというものです。
加えて、私が指摘したいのは、「Tカード」を利用することで、本を借りた履歴が残る事です。
同協会は、1949年の「図書館の自由に関する宣言」で「利用者の読書事実を外部に漏らさない」とうたっています。
理由は、戦前、戦後に読書履歴が思想調査に使われたという苦い経験からのものです。
武雄市は、「以前のカードも使えるようにしたい」と言っているそうですが分かりません。
目先の安上がり行政や利便性に惑わされて拙速な行政に走ることなく、利用者、教育関係者を交えて本来の図書館が持つ「本質的な議論」が必要ではないでしょうか。
石垣にへばりつくように咲いているサボテンの花