二胡工房 光舜堂

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結論として、彪駒

2013-11-18 11:56:21 | ■工房便り 総合 
結論として、今度二胡姫さんから発売される彪駒は、北京系の8角形には、それほど威力を発揮しません。

もちろん彪(この漢字は「鮮やかな」という意味があります)駒の特有の弾きやすさは、8角形でも有効です。


彪駒が、とんでもない威力を発揮するのは、以下1と2。 基本的に、蘇州系の二胡向きです。

以下、彪駒がとても役に立つ樹種と、楽器の状態について等のまとめ。

1)蘇州系の老紅木、紫檀、黒檀、  使用年数、10年ぐらいまでの楽器。
  これらはその彪・鮮やかな音色の出と、豊かな鳴り、音の大きさ、そして弾きやすさというのを最大に実現します。

2)蘇州系の、紅木、花梨。(比較的初心者の所有する事が多い楽器。
  これらは元々音も大きく皮も薄い物(音が大きい)が多く、豊かな鳴りと、弾きやすさを実現します。

3)北京系の6角形。
  これは、8角形に比べると倍音も多く、薄い皮にもかかわらず、豊かな音色と、弾きやすさを実現します。

4)北京系の8角形。
  すべての樹種で、弾きやすさは実現します。

5)北京系の8角形で内部に竹の筒が入っている物は、彪駒でも音の裏返り音というのが出やすくなります。
  彪駒を着けると振動が大きくなり木の厚みが足りないものは、振動し過ぎで音の裏返り音が大きくなります。
  ですので、8角形には、彪駒は向いていません。

6)虎駒は、光舜堂にいらしていただいて、一台一台の楽器に合わせて削り込みをしなければその力が発揮されませんので、光舜堂にいらして下さい。
  通販はいたしません。

彪駒を開発して以来、様々な形と、様々な樹種の二胡60数台で試してみました。

結論として、駒の下部に切り込みが入る事によって、バネの役割を果たす彪駒は、蘇州系のかなり硬い木の皮も厚みがそこそこある楽器に向いていると言えます。

これらの蘇州系の楽器ですと、今までは鳴りにくい、弾きにくいとされていた楽器でもその楽器の持っているポテンシャルを十分引き出し北京系の楽器の様な音の大きさになります。むしろ音の大きさというより強さとして現れます。

反対に皮もかなり薄く削られ最初から大きな音のボリュームを実現すべく作られた、8角形にこの彪駒を装着しますと、皮が薄い為にこの折角のバネの役割が、減殺されます。
要するに、柔らかい布団の上にボールを落としても弾まないのと一緒です。
弾きやすさは実現できます。
小さな音でも、しっかりと音として表現できるのはこの彪駒の役割の一つですから。

ですので、もしこの彪駒を8角形の駒に付けたいとお考えの方は、次回8角形用の彪駒が完成するまでお待ち願う方が良いと思います。

不思議な事に今は、中国の演奏家でこの8角形の二胡を使う人はほとんどいなくなっています。

むしろ日本に8角形の二胡の演奏家というのは残っています。

今から40年ほど前に、バイオリンなどの洋楽器の成りに対抗すべく北京で作られ始めた楽器で二胡を始めた人達が日本に来られていて、その愛用の楽器を日本人に勧めてきたのだと思われますが、

その日本で北京系の楽器を拡げてきた教室が中国本土での楽器コンクールに出したものは、6角形の北京系でした。
これは見事に金賞を取ったようですが、8角形はコンクールに出さなかったのでしょうか。

楽器は好みです又その演奏方法も好みですから、これは皆さんが、自由に選択すれば良いと思います。

8角形の二胡が日本に残っている限り、私もこの8角形用の彪駒は実現しようと考えていますので、今回の発売に当たっては北京系の8角形もしくは北京系の6角形をお持ちの方は、しばらくお待ちいただいて、次回8角形用の彪駒の完成をお待ち下さいませ。

注)8角形には8角形専用の木の厚みが薄い長楕円の形をした駒が市場で発売されています。現在蘇州系の駒を8角形にお使いの方は、それを試してみて下さい。



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