二胡工房 光舜堂

二胡を愛する全ての人へ

駒の位置!

2023-07-29 11:33:45 | 二胡の救急箱に書かなかったこと
駒をは皆さんどこに置きますか?
殆どの人は皮の真ん中あたり?ではないでしょうか。
ただ演奏者そして楽器屋さんによっては、少し真ん中より上の方が良いという方もいらっしゃいます。
では、なぜその真ん中より上が良いというのは説明がないのです。
単にそういうものだという方もいらっしゃいます。
皮の真ん中は一番弾みます。
柔らかいのです。
布地などですと分かりやすいのですが、真ん中は周りから引っ張られて、おおよそ1,5センチくらいは引っ張り切れていません。
ですからこれが例えば普通の牛の皮や猫の皮や羊の皮などでしたら、その真ん中は柔らかくて反発力のない部分となってしまうのです。
引っ張り切れていませんから弦を弾いた時にすぐに反応してくれません。
ですからでしょうね、三味線にせよ胡弓にせよ駒は真ん中には置きません。
二胡の場合は少し事情が変わります。確かに真ん中は張力が働かず柔らかくなるはずなのですが、蛇皮は背骨のラインが縦に硬いのです。
鱗で覆われているのでわかりにくいですが、内部から、裏側から触ってみると縦に硬い部分が走っています。
そのために、他の皮と違って真ん中だけが柔らかくなるという事が無く、かなり真ん中もしっかり張ることができます。
しかし蛇皮は経年変化で伸びていきます。またもう一つ8角形などは相当薄く皮を削り込んでいますから、蛇皮の背骨の一の硬いところまでけずってしまうばあいもあります。
だからでしょうか、北方系の人たちは比較的駒を真ん中より上に置きたがりますが、蘇州系の人たちは真ん中に置く人が多いようです。
わたしがCDMを作る時には布地と紙ですからどうしても真ん中1,5センチくらいは柔らかくなります、それを蛇皮と同じように補強してあります。
擦弦楽器は駒の近くを弾くと音の立ち上がりも早くしっかりした音が出やすくなります。
駒の近くは弦の引っ張りが強いですから、だからでしょう、胡弓も馬頭琴も駒は胴の上の方に置いてあります。
より駒の近くを弾けるためと考えられます。
二胡の場合もその考えに基づいて胴を楕円形にして縦の長さを短くしてより駒の近くを弾けるようにした二胡もありましたが、今は殆ど作られていません。
それほど効果の違いがなかったようです。
ヘグムも駒は胴の上に置いてあります。ヘグムの場合は絹弦ですね。
絹弦は伸びやすく弦の張力も鉄などよりは弱いです。
そう考えると、二胡も絹弦を使ったときには駒は胴の真ん中よりは上に置いた方がよさそうです。
皆さんももし興味がおありでしたら、ご自身の楽器で弦を絹弦に変えたりして駒の位置はどこが良いか確かめるのも楽しい作業かもしれません。
工房光舜堂西野和宏&ほぉ・ネオ







Comment    この記事についてブログを書く
« 二胡の救急箱の増刷はしない... | TOP | 二胡の救急箱を公開します。 »
最新の画像もっと見る

post a comment

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

Recent Entries | 二胡の救急箱に書かなかったこと