二胡工房 光舜堂

二胡を愛する全ての人へ

二胡の音色(仮題)

2010-06-24 11:25:36 | ■工房便り 総合 
 みなさん御存じだとは思いますが、二胡は、楽器として、非常に特殊な位置にあります。

今日はそのことを書いてみます。(これは自分のおさらいでもあります)


その一つは、同じ楽器を弾いたとして、人によってかなり違う音色が出せることでしょう。

ピアノは、私みたいな素人が聞いても、誰が演奏しているのかは、音色だけでは、区別がつきません。

管楽器屋や、弦楽器、打楽器達は、その道のプロが聞けば、その演奏法等により、

その違いを聴き分けるのでしょうが、

はたして、ピアノを、音階だけで、正確に弾いたとして、プロでもその音色と言うのは、聴き分けられるものなのでしょうか?(この部分、ピアノを弾く人から、調弦された、グランドピアノは、弾き手によって、音は変わるとの、コメントいただきました。私なんかの知っているレベルよりはるか上の方なのでしょう、ありがとうございます。ただ話のつながりとして、パイプオルガンにしておきます。これなら音は、エアーですから、これも違うのかな?)

まあ、どんな楽器でも、弾き手によって同一の楽器が違う音色と言うのは多少の差こそあれアルトは思うが、始終その音を聞いていない人にとっても、

二胡は、その点、私のような演奏初心者でも、人により音が違うというのを、かなり聴き分けられます。

みなさんも、友達同士で弾いた時などに、お互いの二胡交換したりして、実感されたことが有ると思います。

これは上手い下手には関係ありません。

その理由は、二胡の楽器としての特殊性に有るでしょう。

何が特殊かと言いますと、

一つには、指板が無いことでしょう。(因みに馬頭琴も有りませんが)

指板と言うのは、弦楽器、全てについている、弦を押して下の板に当てて、抑え込むためにある、木の板です。

それが有ることで、弦はある位置でしっかり固定され、音が揺らぎません。

しっかりして音程が決まります。

みなさんも御存じのように、ギターなどのように、和音を弾く時には、人それぞれの手の大きさを補うため、フレットと言う金属の棒仕込まれ、その位置ぴったりではなくとも、其のポジションを抑えれば、誰でも、決まった音程をだぜるというのも有ります。

バイオリンなんかもかなり初期の段階では、そのようなフレットが、設定されていたものも
あったそうです。
(何かの理由か、それはいつの間にか無くなって今の楽器のようになってきました)

二胡の場合、指板が有りません。

ましてや、棹と弦の間が、20ミリ以上離れています。

極端に言うと、同じ位置で指を抑えたとしても、強さの加減では、半音以上音が上がってしまいます。

ですから二胡の中のヴィブラートにも、それを利用した物も有ります。

ましてや、感覚的に、人の手の強さは変わります。

多分、演奏している人の、感覚によってそれらは変わります。

また、その日その日でも、違うのではないでしょうか。

そして、次に、二胡の特異なのは、弓でしょう。

皆さんご存知のように、二胡の弓は、毛の張り具合を、変えられますし、

バイオリンなどと違って、緩く張ってあります。

もちろん演奏の時は、右手の指あるいは、手首の感覚で、その張り具合を調節しながら、

演奏するのですが、これも、基本的に人によって、違います。

その人の手の大きさ、力、

また弾きながら、音を聞きながら、自分の耳の感覚に合うように、微妙に調節できます。

バイオリンなども、人によっては、多少緩めに張り、弦を弾く時その当て具合で自分好みの音にはしているのでしょうが、

4本の弦がすぐとなりあっていますから、それほど緩めるようにはいきません。

14世紀ぐらいまでは、バイオリンの弓も、今の二胡のように、緩く張っていたようです。

ただ、かなり早い、ヴィバルディーの曲のような音楽がはやるに従って、より合理化された形の弓ができたのだと、思われます。

弦と弓と言う、基本部分が、固定されていないということで二胡の、特徴は上げられます。

が、これだけでしたら、馬頭琴や、胡弓なども同じと言えます。

これらは、みな、音が揺れます。

その揺れると言うことが、今の時代、様々にデジタル化、数値化、固定化されてきた、世の中で、また電子音の楽器などの中で、
ある意味人々に訴えかけているところもあるのではないでしょうか。

また、三番目に、これこそ二胡のホントの意味で特徴とすれば、

二本の弦が、束ねられていることです。

千斤と言う、金属あるいは、糸によって二本の弦が、束ねられ、

片方の弦を弾いたとしても、必ず、もう一方も鳴ります。

これらは実験してみてください、内弦なり、外弦なりどちらか一方を外し、

一本の弦だけで弾いてみるのです。

その時にどれだけクリアーな音になるかを、聴いてみてください。

その時に雑音がまだしているとすれば、その原因は、調弦や、弾き方には無く、

胴や、皮に原因が有る、と解ります。

二胡の倍音の多いと言われる、音の原因の一つに、この二本の弦が束ねられているということが上げられると思います。

とにかく、片方を弾けば、片方もなるのですから、音が2重に出ていることになります。

特に内弦は力らを入れて弾けば、弦をもおしつけ、音程はは微妙にですが、ずれます。

お陰で、外弦との調和していた和音が、崩れ、雑音の原因にもなってしまいます。

それでも、二胡の良さは、その魅力は、その微妙な音のずれ、を含んだ、揺れる音に有ると言えます。


この項続く

西野和宏






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2 Comments

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Unknown (くるみ)
2010-06-25 19:04:22
初めまして、くるみと申します。
専門はピアノですが二胡もぼちぼち練習しております。
上記の二胡の音の特徴についての前フリで
ピアノの音色を引き合いに出された事について気になりましたので。

ピアノは同じ楽器でも弾く人によって音色はかなり違います。
(但し、調整されたグランドピアノの場合。)
TVやCDでは分からないかもしれませんが、生の演奏ではハッキリしています。
同じ調律の仕方で調整された楽器をプロの方が複数人で
聴衆に違いが分かる様に弾いて聞かせる場面が無いので
西野さんの様なご意見が出てくるのだと思います。
まあ、ピアノを弾かれる方でも
「ピアノは一音出しただけでは音楽にならない」
等と言われる方もいらっしゃるくらいですから仕方が無いとも言えますが。

この記事の内容には関係無い事ですが、
ピアノが単純に「鍵盤を叩けば音が出る楽器」と世間に思われているのは悲しいです。
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くるみさん (nishino)
2010-06-25 21:59:10
ありがとうございます。

残念ながら、調整された、グランドピアノでの弾き比べと言うの聞いたことがありません。

でもその道の専門家が言うのだからそうなのでしょう、

楽器は多かれ少なかれ、弾き手によって、音は変わりますよね、でもピアノは気がつきませんでした。

私は、チェロを少々弾きます。弦楽器は、かなり弾き手によっては差が出易いみたいですが、
二胡は、かなりはっきり出ますね。

ありがとうございました。

胡桃の西野
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