二胡工房 光舜堂

二胡を愛する全ての人へ

二胡の皮の手入れについて。

2011-09-28 10:49:49 | ■工房便り 総合 
全ての、太鼓は、生皮を使います。

二胡も太鼓と同じです。

生皮を、何度も濡らして、型に閉め込み、乾かし、

この工程の間に除々に、伸ばしていき、繊維の切れる寸前まで引っ張ります。(楽器の種類によって硬さは変わります)

ですから、最終工程のすんだ皮は、カチカチの板状態なのです。

二胡の蛇皮には、オイルは、塗らないでください。

必ず、緩みます。

柔らかくなります。

弾きこんで振動によっても緩みますが、それは良い緩み方です。

緊張状態が維持された、緩み方です。

オイルによる緩みは、皮の貼り方のバランスが悪い物や、皮の部分部分の、伸び方の違いを、的確に拾い出してしまいます。

当然、歪んで緩みます。

高音は出なくなり、低音も、ボテボテになります。

そして、これは、張り替えるほか治せません。

いずれは、張り替えなければならない、二胡の皮ですが、折角弾きこんで良い状態になったのを敢えて、緩めてしまうのはつまらないことだと思います。

二胡は、弾きこんで弾きこんで、皮が伸びて来て、良い音が出てきます。

物によっては1年2年とかかります。

その間冬場の乾燥期にはどうしても硬い音がします。

これからの乾燥した季節、或いは、エアコンのよく利いた部屋などでは、二胡の皮は、バリバリに乾きます。

その時につい、オイルを塗ってしまう方が、大変多いようです。

或いはもっと音を柔らかくしようとして、オイルを塗る方も多いようです。

オイルを塗っても、音はホントの意味では柔らかくなりません。

蛇皮は、生皮です。

多少の保護は必要だとは思うのです。

中国製の二胡の中には、まだ皮がぬれているうちに、蝋を熱で溶かしこんでぬっている物も有ります。

これはぬれているうちにやりますので、熱を掛けても皮に大きな影響はなさそうですが、

中には、この熱処理で皮が、歪んでしまう物も有ります。

ただ、この蝋を塗った物は、比較的、ハンドクリーム程度は、塗っても内部にわずかに浸透するだけですから、

鱗の立ちを抑える程度にはなるようですし、あまり繰り返さなければ問題はありませんが、

もし蝋が均一に塗られていない場合、その蝋の薄い所から、皮に浸透して、反対に皮をゆがめてしまいます。

ですから、これも気をつけるに越したことはありません。

冬場に、乾燥しすぎて、蛇の鱗が立つほど乾いた時には、

両手で、蛇皮を覆って下さい。

しばらくすると、手の水分が、蛇の皮をうるおします。

或いは、胴の後ろから(花窓から)、息を吹きこんでやって下さい。

これは、応急処置なのですが。

でも季節はまた変わってくるのですから、冬場に合わせて、オイルを塗ったとしたら、

それ以外の季節は、ボテボテになりはしませんか?

ましてや日本は、それほど乾いた気候が続くわけではありませんね。

せいぜい、冬の、1,2月ぐらいではないでしょうか?

その為にオイルを塗って、しまうというのは、どうなのでしょうか?

オイルはまた、酸化します。

油を塗っておけば、鉄は錆びないからと、サラダオイルを塗って鉋をしまっておいた大工さんがいました。

これは見事に錆びました。

植物や、動物のオイルは、酸化します。

鉱物油は、酸化しません。

その酸化する動植物のオイルを皮に塗ったとしたら、皮が酸化して、硬化していきます。

オイルを塗ると、最初は皮が柔らかくはなりますが、そのまま空気中に置いておくと、オイルも、皮も酸化します。

皮にとって酸化は老化です。

緩くなったうえに、硬化して、弾力が無くなります。

はずみが無くなりますね。

これらのことは、皆さん、コートや、バックなどで、皮の扱いを経験なさっていると思います。

ですから、二胡の皮はオイルを塗らないでください。

音的に気になるようでしたら、後ろから、息を吹き込むか、

皮をしばらく、手で包んでやるか、

或いは手のひらで、多少、二胡の皮を、手でなでやって下さい。

或いはどうしても、塗りたい人は、酸化しにくいスクアランオイル系のもの、

それも少量です、ティシュなどにつけて、1回何かを塗って、その残ったぐらいで十分です。

そして1シーズンに1回くらいでしょう。


しかし、先ず弾きこんでからにして下さい。

西野和宏。







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2 Comments

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オソロシイ・・・。 (とら)
2011-09-30 13:19:30
以前かよっていたいたカルチャーの先生は、
皮に美容液を塗る と仰っていました。
ある民族楽器屋さんに、ハブ油?馬油?だったかを売っていて乾燥時に薄く塗ると聞いた事がありました。
一応買ったけれど、なんとなく気が進まずにそのうち無くしてしまったので、ハブ油?か馬油?かどちらだか分からなくなってしまいました。

塗らなくて、良かったんですね!

知らないって怖い事です。
美容液を塗った二胡って・・・どうなるのかしら?と思ってしまいました。

オソロシイ デス。
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美容液???? (nishino)
2011-09-30 13:45:23
美容液というのは何が入っているのでしょうかね?
蛇皮美しくしたいという方も多いらしく、中には皮が塗装されている物も有ります。

人工皮が有るくらいですから、それも良い音がすれば問題はないのですが、

漆以外の、現在のプラスティック系塗料というのは案外弱くて、5年ぐらいで劣化し始めます。

昔のニカワ質の塗料の方がもつみたいです。

或いは、松脂ベースの、バイオリンの塗料とか。

漆はその殆どの成分が、ゴム質です。

もしかしたら、その弾力は音に役に立つかもしれないですし、

耐久力は、数千年と言われます。

意外とよいかもしれませんね。

余裕のある時にやってみます。

高いですからね、漆も蛇皮も。


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