最近嬉しい事に、これは私にだけですが、
他の楽器屋さんからの蛇皮の依頼というのが増えてきています。(多少は皮張り技術が認められてきたのかも???)
理由は、運送の問題あるいは、ワシントン条約の問題??
あるいは中国では他社の作ったものの張替えをやらない?、まあ、これはありうるでしょうね。
そして蛇皮の高騰、
何のことはない、中国で皮を張替えに出すより私の方が安いからでした。(マッタク!!(# ゜Д゜))
私が手に入れるだけの範囲でも既に、5年前より、3,5倍くらいの金額になっています。
蛇皮の産地の人件費の値上がりというのは大きい問題でしょうね。
タイやベトナムなど、蛇の養殖をしている国がどんどん経済的な活性化を図っているために、
当然全ての費用が上がっていきます。
これからも下がることはありえず、上がっていくだけです。
蛇皮はその下加工の仕方によっても寿命が違いますが、大体10年ぐらいすると音の鳴りがとても悪くなります。
中には20年以上経っても問題のない物も在りますが、それらは比較的弾いてこなかったものが多いです。
あるいは何台か持っていて、交互に弾いてきたりして年数は20年経っているのだけれども、それほどは弾き込まれてきていないものは、20年ぐらい持ったりします。
しかし、お客様と話していて、「この楽器10年ぐらいたっています?」
「言えまだ4年ぐらいです」
私の見たところ相当皮が緩んで、もう鳴らなくなった状態の物がかなり出てきています。
一番大きな理由は、胴の木が乾燥が十分でなく縮んでしまい皮が緩んでしまったという事。
それと最近よく見かけるのは、最初から良く鳴るけれど皮がかなり緩めに張ってある物です。
そういう楽器をお持ちの方は、最初から良く鳴るということでとても喜んでいらしたのですが、
2年目ぐらいから、なんだか鳴らなくなってしまったと感じる方も多いです。
困ったことにこれがかなり有名な二胡師と言われる方の物ですから、
迂闊に私も批判はできにくいのです。
私のは有名な先生に作ってもらった物だから、そんなわけはないと、思っている方もかなりいらっしゃいます。
まあ、ご本人がその音で良ければ、私がとやかく言うことではないです。
また蛇皮にオイルを塗ってしまったりした場合も、ご本人は築気付かなくとも、
他の健全に鳴る楽器などが一緒に演奏したりするときに、「あれ私の楽器は、、??」
ご自分の音が聴こえてこないなどという事も出てきたりもします。
こういう時は案外皮が緩んでしまっていることも多いです。
たぶん後10年すると、蛇皮の張替というんはとんでもない金額になりかねません。
動物保護ということも問題として出て来るでしょうし、
絶対量が減って、金額がさらに上がるというのは目に見えています。
今では三味線も、沖縄の三線も、ドラムもティンパニーもそのほとんどは人口の皮になってきています。
皆さんのご存知のモンゴルの馬頭琴も今から50年前までは全て皮が張ってありました。
今はヴァイオリンと同じように、スプルスの板を張っています。
何時かは二胡もすべて人工皮になるでしょう。
生かし今ならまだ、蛇皮に張替えることも出来ます。
私が張替えをお勧めするのは、二胡の木自体もどんどん良い物がなくなってきているからです。
10年前に20万で購入した物なら今同等のレベルの楽器は、たぶん40万以上します。
よく光舜堂に、古い楽器を頂いたんだけれど、あるいは古い楽器をネットオークションで落としたんだけれど、
安物で、、と持ってこられる方の楽器がほとんど良い物であるのに、驚きます。
中には花梨だからと言っても、花梨の安物という感覚よりはこれは殆ど紫檀の音色、などと言う物も在ります。
木自体は悪くもなっていないですし、そういう物の80%くらいは胴も割れていませんし、緻密な良い木を使っていたりもします。
見た目はなんだかお土産二胡という感じでも、これはもうとんでもない良い材量(中には黄花梨などもありました)
楽器は古ければ古いほど価値があると思って下さい。
それを弾き込んであるいは皮張替えて、(CDMもありですが)
今ならまだ蛇皮に張替えても良いのではないでしょうか。
私の場合はお客様と相談して楽器の鳴りの悪いところあるいは雑音の出やすいところあるいは、裏返り音の出やすい物など、皮を張替える時に、修理します。
皮をはがさないと修理できないところも多いですから。
弾き易く良い音色が出る楽器につくりかえて、皆さんの二胡人生応援したいと考えています。