フルール・ダンテルディ

管理人の日常から萌えまで、風の吹くまま気の向くまま

『遠い伝言―message―』 2

2008年09月07日 | BL小説「遠い伝言―message―」

「いたっ!」
 彼は自分の声で目が覚めた。
「……大袈裟な奴だな。そんなに力は入れていないぞ」
 彼の目の前に、足があった。それを上にたどっていくと、雨でもないのに長いマントを体に巻きつけた少年が、不機嫌そうに彼を見下ろしていた。
「…あれ?君は……?」
 体を起こそうとして、彼は体中に走った痛みに「いたたた…」と情けない声をあげて転がった。
「けがをしているのか?」
「わ、わからない……」
 少年の声に戸惑いの色が混じった。
「出血はしていないと思ったんだが、骨をやられているのかもしれない。見せてみろ」
「大丈夫、たぶん……」
 彼は自分であちこちひどく痛む部分を探ってみた。
「単なる打ち身だと思う。骨折までの痛みじゃない」
 これならフクロにされたときに比べればたいしたことはない。だが、いったいいつこんなひどい打撲を負ったのだろう──そうだ、洞窟の穴に落ちたせいに違いない。すると、ここはどこだ?
 うずくまっていた彼は目を上げ、あたりを見まわした。
 そこは、何もかもが違っていた。渓谷の底では決して見ることのなかった地平線。首が痛くなるほど見上げなくても、目の高さに空がある──あいにく雲がひろがっていて、青空はところどころに覗いているだけだったが。そして、赤茶けて乾燥したアリゾナの大地とは正反対の、どこまでも続く草原。緑の中に黄色やピンク、青い色が混じるのは花だろう。
 そんな見知らぬ風景よりも、彼の視線を吸い寄せ、強く心を惹きつけたのは───
 本当に、まだ幼い少年だった。ジュニアハイスクール入学前と言ってもいいくらいだ。体のほとんどを覆い隠す厚地のマント越しでも、その成長期の手前らしい、優しい体の線と華奢さがわかる。けれど、唯一露わになっている顔の表情は、その見かけの年齢を裏切っていた。
 初対面の相手への警戒の色は当然としても、観察するような冷静な視線や、唇を引き結んだ厳しい表情は、十かそこらのこどものものではない。
 彼は、座り込んだまま、ぼうっと少年を見上げた。
 なんて瞳だろう──と、魅入られたように少年の目を見つめた。漆黒の瞳は、美しくカットされた黒曜石のように冴え冴えと輝き、やや眦のきついアーモンド形の大きな目のほとんどを占め、鋭すぎる印象を和らげている。目に比べると鼻や口は小ぶりで、筋の通った細い鼻梁もピンク色の薄い唇も、こどもの可愛らしさよりは陶器の人形の整ったそれを感じさせる。──その繊細な花びらのような唇がほころべば違うのかもしれないが、少なくとも今は、むしろ冷徹さすら漂わせていた。
 少年は絞りたての濃いミルクのような、白よりは黄みがかった肌で、そのわずかに癖のある黒い髪からも、東洋系ではないかと思われた。純粋な、ではないだろうが。
 なんにせよ、その少年の容姿が整っていて、しかも非常に印象的なことは間違いなかった。何しろ彼にとって、人に見惚れて目を離せなくなるという経験など、生まれて初めてだったのだから。
「…君は、だれ?」
 ぴくりと、少年の片眉が上がった。
「……人に名を訊くときは、自分から名乗るものだ」
 どうやら気分を害させたと知って彼は慌てて言った。
「俺はエドワード・ジョハンセン。エドか、エディと呼んでくれ」
「……テス」
「えっ?」
 小さな呟きを聞きとれず、エドは首を傾げた。
「テス、だ。ジョハンセンというのは姓か?」
 少年は、硬い表情を崩さず言った。
「ああ、そうだけど……」
「ここでは、特別な場合を除いてむやみに姓を名乗る習慣はない。覚えておくといい」
 ここ、ってどこだ?と訊こうとしてやっと彼は現実を理解した。ここは洞窟の底でも遺跡の谷でもない。いったい、どこにいるというんだ?
「……テス……ここは、どこなんだ?」
 真っ青になった彼の顔色に気づいたのだろう、テスは顔を曇らせ、言いにくそうに唇を湿した。
「…リベラの東端の町、ヴォガまで12フォルトというところだ」
「……なんだって?」
 ぽかんと訊き返したエドに、テスは大人びた吐息を洩らした。
「お前の生まれた国は?お前がいた場所はどこだ?」
「……アメリカ合衆国。さっきまで、アリゾナ州コロラド高原で…遺跡の発掘をしていたんだ……」
「…そんな国も、そんな名前の土地も存在しない。少なくともこの大陸には」
 そう告げながら、すでに現実を把握したテスの表情は暗かった。
「ここは、お前のいた世界じゃない。たぶん…。信じられないかもしれないが」
「……なんだって……」
 茫然としているエドを尻目に、テスはマントを脱いでエドに投げ渡した。
「お前には小さすぎるが、少しは寒さがしのげるだろう。行くぞ。ぐずぐずしていると日が暮れる」
「行くって…」
 エドは、ぶるっと震えた。言われて初めて、コロラドとの気温差に気づいた。見れば、Tシャツから剥き出しの腕に鳥肌が立っている。
「ヴォガの町へ行く。今夜、ベッドの上で寝たければ、痛むだろうが我慢して歩け」
 言うなり、彼は踵を返してすたすたと歩き始めた。
 背中に大きな袋を背負った後ろ姿をぼんやり見送りかけて、エドは我に返った。テスの腰にぶら下がるのは、長い剣。幼い彼がそんなものを持ち歩いているということは、人間だか獣だかはわからないが、それだけの危険があるということだ。
 立ち上がる動作だけで体中が悲鳴をあげたが、エドはそれをだましだまし、テスのあとを追った。

 


ショタでやおって何が悪い

2008年09月07日 | オタクな日々
 今日(あ、もう昨日だ)からBL小説をブログにUP開始したわけですが、その前に「ぷららはアダルトブログ禁止だったような」とぶつぶつ言っておきながらどうも記憶があいまいで、「どの程度ならいいのかな・・・」と改めて規約を読んだところ、「公序良俗に反する内容」でなければいいらしいことがわかりました。
 じゃ、「公序良俗に反する」ってどの程度よ・・・。本屋に並んでるビニールに包まれてもいなければ「アダルトコーナー」とかに隔離していないポ○ノ小説の数々、あの程度はOKか・・・と言っても、どれくらいだと「わいせつ」になるのか小説は基準がわからん!昔「四畳半なんたら」とか「なんたら夫人の恋人」とかいう小説がわいせつ表現にあたるとされた裁判があったけど、わたしゃその小説読んでないし!だいたい市販のエロ雑誌の小説なんて私から見るとエロくもなんともないっつーか、単なるグロじゃん、気持ち悪いだけし(まあ、男向けを女が読んだっておもしろくないわな)、それこそページの9割がHシーンの小説なんて、途中で飽きて眠くなるだけだしさ。画像と違って文字のエロの基準はあいまいすぎる・・・。
 とりあえず、「公序良俗に反する」にひっかかりそうなのは多分「わいせつかどうか」と年齢設定くらいだろうけど、私の書くHシーンなんて、「公序良俗うんたら」言うほどの代物ではない・・・。私がラブシーンを書くときのポリシーは、「話全体のバランスを考えて」だ。切ない恋愛を書いた話で、たとえ読者サービスでもやたらエロく書いたら話の雰囲気が壊れる場合は抑えるし、やたら長々書いて、全体の分量に対して多くなりすぎてもだめ。
 なので、この話ではHするかしないかは重要なポイントなので行為の最初から最後まで書いている上描写も細かめだが、いやらしくは書いていない(つもり)。「公序良俗」云々いわれるほどでは全く(多分)ない。が、Hシーンがあることには違いないので、その時は注意書き入れようっと。
 あとは・・・カップルの一方が推定外見年齢13、4歳ってことがアレですかね・・・。要するにややショタ・・・。しかし、自分が13、4歳のときどうだったかを思い出すと、確か初めて小説でHシーンを書いた頃ではなかろうか・・・(男女だけど!いやー、私ってまともじゃん!)。そもそも日本は、昔は12、3で結婚するのもアリだったわけだし。・・・まあそれはそれとして、今のところ児童ポ○ノの定義は「画像」に限られてるので、(その画像がアニメやマンガのキャラでもダメにしようというアホバカ法律の制定には絶対反対だぞ!)問題なしだ。
 というわけで、宣言(?)。話が進んでいってHシーンに入っても、警告だけはちゃんとするけど、描写をぬるくするのはやめることにする。ぬるくする必要性がないという結論に達したからね。
 ああ、すっきりした。これで「なんとなく自主規制・・・」なんてことせずにやることができる・・・。やれやれ。