フルール・ダンテルディ

管理人の日常から萌えまで、風の吹くまま気の向くまま

Dグレ「クロスXラビ」小説『wish』⑤

2009年05月02日 | Dグレイマン関連

注意!!
①これはいわゆるボーイズラブというジャンルの女性向け小説であり、同性間の恋愛を扱っており、性的表現を含みます。このジャンルに興味のない方、そのような内容を苦手とする方はお読みにならないよう願います。
②Dグレ「クロスXラビ」甘々ラブラブで、ややショタ気味です。基本設定は完全ショタです。このカップリングやラビ受けやショタが苦手な方はご遠慮ください。
③原作の設定は完全無視、また多数捏造しております。くれぐれも信じないように!(笑)また、前回の小説とは全く別設定で(一部同一設定あり)、続きではありません。
④文章の一部は、うっかり目に入らないように反転させることがあります。

  
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 日本酒の香り混じりの口づけでラビを酔わせ、クロスは彼を抱き上げて几帳の裏の布団に下ろした。ラビの腰から解けかけた帯を引き抜き、振袖を脱がせ、几帳に掛ける。ドレスシャツを脱ぎ始めたクロスの正面にいざり寄ったラビは、彼のズボンと下着を下げて、彼の雄に舌を這わせた。
だが、いくらもしないうちに「もういい」と止められた。なんで、と見上げたラビの頭を包み込むように支えたクロスの手が、彼の頭に巻かれた布を解いていき、現れた眼帯にも指をかける。反射的に身を引こうとしたラビを、クロスの大きな手は逃さずに、それを取り去った。
 周囲に思わせているように、ラビの右目には事故による傷などありはしない。あるのは、「ブックマン」となることを定められて生まれた証である「眼」だった。
 長い前髪で隠すように顔を伏せたラビは、下を脱ぎ捨てたクロスがその服の上に白い仮面を落としたのを見て、はっと顔を上げた。彼よりも少し暗褐色がかった髪の陰に、クロスの右目の光を見つけ、甘く胸をしめつけられる。
 互いの双眸を見つめながら、膝立ちで抱きしめあい、情熱的に唇を重ね、舌を絡めあう。
 布団に横たえたラビの長襦袢の前を広げ、クロスは日に焼けていない白い肌に唇を這わせ、赤い痕を残していく。彼の長い髪が肌を滑っていく感触がじれったい愛撫のようで、ラビは身を粟立たせた。
「んっ」
 緩く立ち上がったものを口に含まれた。直接的な刺激はキスや肌への愛撫とは比べものにならないほど強烈すぎて、たちまちラビのものは硬く反り返り、クロスの口の中でびくびくと跳ねる。
「……やだ……!出ちゃう…出ちゃうから……!」
 クロスが放してくれたのでほっとしたのもつかの間、ラビは引っくり返されて尻を上げさせられた。谷間を両手で広げられたと思ったら、そこに濡れたものが触れた。
「いや…!」
 あまりの恥ずかしさに前へ逃げようとするが、がっちりと掴まれていて叶わず、引き戻され、舌をねじ込まれた。
「!!」
 ラビは両手で顔を覆った。恥ずかしいのに感じてしまう自分が泣きたいくらい恥ずかしくて、膝が震えた。
「イキそうか?」
 ラビは必死にうなずいた。
「まだ我慢しろ。根元を手で押さえてろ。できるな?」
 荒い息をつきながらラビは右手を伸ばし、言われるがまま自分のものを握った。左肩と肘に上半身の重みがかかり、クロスが片腕をラビの腰にまわして支えていなければ崩れ落ちてしまいそうだった。
 抗う筋肉を無理やり開かれる圧迫感を、ラビを浅く息をついて耐えた。1年以上ぶりに呑みこまされたクロスの長い指。2本の指をゆっくりと一旦奥まで入れられたあと、慣らすように抜き差しされる。
「……も……いい……早く…!もう入れて……!」
 これ以上手に力を入れたら逆にいってしまいそうで、かといってこのままではいかされてしまう。それだけはいやだった。
「ばか。まだ全然開いてねえぞ」
「だってオレ、もう……っ」
 指が抜かれ、再度引っくり返される。両脚でクロスの体をはさむように、腰から下を彼の膝の上に乗せられた。
 ラビは欲に潤んだ目で、同じく欲と理性とがせめぎ合う、クロスのいっそ険しい表情を見上げた。クロスは片手でラビの腰を支え、もう一方で天を向いた自分のものをラビの後ろにあてがった。
「……っ」
 クロスはためらうことなく押し入ってくる。ラビは両手で口を塞いだが、意思とは関係なくそうしても呻き声が洩れてしまう。
「ああっ」
 肌がぶつかる衝撃とともに、ラビは達した。自分の胸と腹に放ったものが降りかかる。
「い……痛…!」
「ウッ」
 涙目になりながら、ラビはなんとか目を開けた。クロスは唇をゆがめて笑った。
「ちぎれるかと思ったぜ」
「ご……ごめん……」
 目を移せば、結合部はクロスの繁みに隠れるくらい、隙間なくはまっている。そこから体の中を侵されている、息苦しいくらいの異物感があったが、同時に自分の中にあったそれだけの空間が充たされた安堵も感じた。
「……クロス……?」
 じっと、確認するかのように自分を見つめて動かないクロスに、ラビは少し首を傾げた。
「いや……」
 彼はラビに覆い被さり、片手でラビの頬に包むように触れた。
「この1年間、オレはおまえが欠けたままで過ごしていたことを、おまえを抱いて、今さら感じてな……」
 ラビは目を瞠った。
「離れている間は、そんなこと感じたりしなかったのにな」
「……オレも、今、同じこと感じてた……」
 苦しいのと嬉しいのとが同時にこみあげてきて、せっかくこらえていた涙がこぼれる。
「ずっとあんたに捨てられたって、それをつらいとばかり思ってて、気づかなかった……。いつの間にか、オレの中に空洞があってさ…それを充たせるのはあんただけで……あんたを失ったら、オレは一生この穴を抱えていかなきゃならないんだなって。……この穴は、生まれたときからあるのかな?ただ気づかなかっただけで、あんたを好きになったから気がついたのかな…?でも……だったら、なんであんた以外じゃだめなんだろう……他の誰かで埋めたっていいはずなのに……。それとも……あんたを好きになった瞬間に、開いちまったのかな。そんな変なのって……オレだけなのかな……?」
「………」
 クロスはラビの涙を手で拭った。
「……おまえ、ばかだばかだと思っていたが、時々そうでもないな」
「なんだよそれ!」
 状況を忘れて体を起こしかけたラビは、痛みにまた呻いて倒れた。
「……もう……あんたもじじいも、いつも人のことばかだのくそガキだのひよこだのばっか言って……」
「本当のことじゃねえか」
 クロスが楽しげな笑みを浮かべる。ラビは不意に突かれて声もなくのけぞった。先に達してしまったラビが落ち着くのを待っていたクロスは、腰を動かし始めた。
「あっ、あっ、クロス……」
 揺さぶられながら両手を彼へと伸ばす。クロスは体を支える代わりに両腕でラビを抱きしめ、彼に重みを預けた。
「すき……好きだよ……」
「オレもだ。……」
 今では呼ばれることのない本当の名前を耳に囁かれる。体だけでなく、ラビの心の中の空洞にも、クロスの存在が満ちていく。名前のない、どこにも存在しない彼を、その名を呼び、その素顔を知っている、唯一人、彼を彼自身として見つめてくれる人。彼こそがラビにとって、ほとんど全世界といってもよかった。

 
 目が覚めると、視界は暗く物の形がぼんやり黒く見えるだけだった。クロスとしているときにはまだ薄暗くなり始めたところだったが、あれから何時間経ったのだろう……
 ラビは衣擦れの音に寝返りをうって目をこらした。暗闇の中に、白いシャツがひらりと翻った。
「クロス……?もう朝なん……?」
「さっき店が閉まったところだ」
 店が客の受け入れをするのは12時まで。すると、まだ1時にはなっていないくらいだ。
「なんでもう服着てんのさ?」
「……オレは帰る。おまえは今から仕事だろう」
 ラビは、のろのろと身を起こした。一動作ごとに体内の鈍痛が、先程の行為を思い出させる。正直言うと、12のときに初めてクロスのものを受け入れて以来、快感と苦痛とどちらが大きいかと問われれば、肉体的には苦痛の方が大きいとしか言えない。経験や慣れの前に、身長で30センチ、体重でも30キロ近く違う、いかんともし難い体格差が原因だろう。
 それでも入れてほしいと思うのは、クロスとの一体感が嬉しいのと、何よりクロスが口でするより好むからだ。
「……うん……。やらないとな……」
 わかってはいても、こんなに幸福な時間を過ごしてしまったあとでは任務のみならず、あっさり帰ろうとするクロスまでもうらめしくなる。
 クロスが几帳の向こうに回ったので、ラビは慌てて眼帯をはめ、襦袢をいい加減にかき合わせて着物を羽織って追った。
 団服を着、マスクをつけたクロスが、戸口で待っていた。
「じゃあな、ジュニア」
 その言葉で、クロスがこの地を去るのだとわかった。
「……今度はどこ行くんだ?」
「南の方、だな」
 答えてくれると思っていたわけではなかったが、そう返ってくるとやはり寂しさを感じずにはいられない。
「あんま、無茶すんなよ」
「おまえも、オレ以外のために泣くんじゃねえぞ」
「ひっでーの……」
 クロスはラビを抱き寄せた。ラビは泣きたくなりながら目を閉じた。
 軽く舌を吸って、クロスはすぐに体ごとラビを放した。戸をくぐったクロスのあとに、ラビも続いて部屋を出た。
 廊下にはところどころに行灯が置かれ、歩くのに支障がないようになっている。ずらりと並んだ部屋はすっかり灯りが落とされていたが、人々のうごめく気配は消えてはおらず、時折女の嬌声が聞こえてラビをいたたまれない気分にさせた。
 決まりでは、仲見世のある母屋との境の踊り場まで客を見送ることになっている。逆に言えば、そこから先へは行ってはいけない。そこにクロスが差し掛かり、ラビは足を止めた。クロスの振り向かない背中を見つめながら。
(行くなよ……)
 死んでも口に出せない言葉。クロスの愛人たちなら、そう言ってすがることも許されるだろう。だけど自分は男で、ブックマン後継者で、エクソシストだ。クロスに煩がられるより何より、自分の矜持が許さない。
 けれども、ただ思うだけなら許されるだろう。
(オレを置いて……行っちまうなよ……)
「……え?」
 ラビは目眩のような視界の揺らぎをおぼえ、思わず両足に力を入れた。
(この感覚……)
 体の中から、何かが引き出され、流れ込む、何度も経験した、よく知っている感覚。
(なぜだ?)
 着物の袂に目をやるが、イノセンスに変化はない。
「……おい」
 クロスが、ラビの方を向いていた。
「廊下がなくなっちまったぞ」
 クロスは彼の目の前の壁を、手の甲でコンコンと叩いてみせた。


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 ハイ、残りあと1回でございます。次回はいつも通り日曜にアップ。このさきHはありません(笑)


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