フルール・ダンテルディ

管理人の日常から萌えまで、風の吹くまま気の向くまま

萌え少女漫画回想録:第4回

2008年01月06日 | 行き当たりばったり的萌え少女漫画回想録

 誰でもこどもの頃は(大人になってもだが)眠りにつく前、布団の中で空想に耽った記憶があるだろうと思うが、私の場合は腐女子であるからして、もっぱら今で言うやおい話を空想していた(何しろ空想なので、好きなシーンだけ作ってにやにやしてりゃーいいので、こんな楽しいことはない・・・)。オリジナルで、というのは難しいので、だいたい好きなマンガやアニメのパロというか、勝手に捏造だ。それが後々アニパロ、マンパロやおい小説を書いていく萌芽となっていたわけだ。
 その頃私は、あるマンガのキャラを最も好んで動かしていた。そのキャラを好みの別のマンガの中に突っ込んで、その別のマンガのキャラたちとの話を創作することが、毎夜の日課となっていた。そのキャラクターは、私にとって永遠の理想の美少年だったのだ。
 といっても実はそのキャラが出てくるマンガは単行本にもならず、週刊誌で読んだきりで(その週刊誌はちり紙交換に出されていった・・・。はっ、若い子にはちり紙交換なんてわかんないか?!昔は行政による資源収集なんてものはなく、もっぱら古新聞古雑誌はトラックで回ってくる流しの廃品回収業者に渡し、トイレットペーパーと交換してもらっていたのだ)、フルネームすら覚えておらず(空想する都合上、別の名前をつけてしまっていたから余計にかもしれない)、おそらく実際に描かれたキャラより美化しているに違いないとは思う。
 その作者の他の作品も好きだったのだが、何しろ1冊しか単行本化(しかも原作付き※データ参照)されていないので、全くデータがない状態で語ることになる。ボケが進んでいるワタクシのことなので、記憶もあいまい。なので、語るというよりほとんど私の妄想の記録(爆)としかならないかと思うが、お許し願いたい。この作品、このキャラを語りたい──自分の同人活動の原点はこれだー!と叫ぶことが、この「萌え少女漫画」を書き始めたいちばん大きな動機だからだ。
 あまりに手持ちのデータがないため、情報はこれまで以上にネットに頼ることになったので、自分で正誤は確認できないが、古本屋や実際に切り抜き等を保管している方々のデータなので、間違いは少ないと思う。日本中のマンガマニアの皆さまに感謝。


 初めて彼女の作品を読んだのは1977年週刊マーガレット45号掲載の『魔女幻想』。作者は岩川ひろみ。表紙には「奇才が放つ悪と背徳の異色作」というあおり文句が・・・。
 自分が魔女であるという妄想に取りつかれた姉のベレニスに幼い頃からいじめられていたニコラス・マグナスは、ある日姉に氷の張った湖に突き落とされる。それを助けてくれた小説家のウィリアムは、それが縁でマグナス家に出入りするようになり、小説家志望だったニコラスは彼になつく。しかし母が変死し、それが姉のせいではないかと怯えたニコラスはウィリアムのつてを頼って家を離れる。それ以後もウィリアムはマグナス家に出入りし続け、3年後、ウィリアムとベレニスが結婚することになり、ニコラスは故郷に帰ってきた。その晩、ベレニスは自分から逃げたニコラスを鞭打つが、ニコラスは姉への恐怖とともに愛着を抱いている自分に気づき、口づけを交わす。しかし「永遠に生き続ける」と告げた姉の背後に悪魔の姿を見、彼は気を失う。
 ウィリアムと結婚した姉は娘を産んで死ぬ。その5年後、ウィリアムからの奇妙な手紙を受け取ったニコラスは、彼のもとを訪れた。そこにはベレニスの遺言により「ベレニス」と名付けられた、姉そっくりの少女がいた・・・。
 少々あらすじにもまとめにくい話なのですが・・・耽美なストーリーと雰囲気と絵柄、姉と弟の禁断の愛、おそらく作者が書きたかったのはこっちだろーなーと思われるニコラスのウィリアムへの片思いに、当時小学生だった私はものすごく心惹かれた。
 今読むと(この雑誌のみ、まんだらけで入手)、同性同士よりもまだ「姉と弟の禁断の愛」の方が編集部に受け入れられやすかったのだろーなー、それでこういう展開なんだろーなー、という気が・・・(爆)さらっと読むとニコラスもベレニスを愛しているようですが、ウィリアムに惹かれているニコラスの恋を邪魔するため、ウィリアムを誘惑したベレニスと違って、ニコラスの方は恋愛じゃないな、という印象。
 結局ニコラスとウィリアムと「ベレニス」は共に暮らし、「もはや何ものもぼくらの桃源郷へ足をふみいれることはできなかった」というモノローグで終わるのだが、その前に「ぼくらは世の常識を逸脱し、道徳の数々を軽蔑した」と言っていて、今なら「あっ、そーか、3ピ・・・(こらこら、レッドカード!)」と呟くところです・・・。多分編集部は気づいていない・・・(笑)
 そうして気になる作家となった岩川さんの作品を次に読んだのは、78年週刊マーガレット1号。いよいよ今も私の心の中に焼きついている美少年との出会いです・・・。(次回に続く!)


 データ
『女王蜂』 岩川ひろみ 1978年 集英社 週刊マーガレット
(『女王蜂』 1979年2版 集英社漫画文庫)


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