9月24日

2008-09-24 21:02:22 | Weblog

      ( 藤袴 )

 

藤袴手に満ちたれど友来ずも     橋本多佳子

 

藤袴ゆれれば色を見失ふ       山下美典

 

藤袴にもひとこゑや山鴉        藤田湘子

 

   

     朽木は彫るべからず    富安風生


  柱から庭木へ縄や土用干し

富安風生はこの句を取り上げて「見たままありのままにが叙してあるが、

ただごと過ぎて趣が乏しく、詰まらない」「一口に言えば事実に詩がない」

とし、この句を否とした。

全ての事実が詩材たり得るわけではない。朽木は彫るべからず。

写生ということを穿き違えて、俗眼俗耳に入り来るところの現象そのものに

何らの取捨選択を施すことなく、自己の上層の坩堝で陶冶を加ふることなく

据えられた写真機が種板に物を撮しとるように、外物をただ十七文字の

形の中にはめ込んだといふだけでは詩にならない

 (栗田靖 著 現代俳句考 先達の言葉より)

 



 


 

コメント (2)
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