( 茶の花 )
侘の茶の寂の茶の花咲きにけり 後藤比奈夫
茶の花や鵜の目は水を湛へたる 殿村菟絲子
茶の花や門のみ残る屋敷跡 高浜虚子
茶の花にほのとゆくての夕がすみ 飯田龍太
真実感合を措いて道なし 加藤楸邨
把握と表現が一枚になるためには真実感合という態度に徹する外ないと
私は考えている。自然を把握するにも、用意された美的趣味など捨てて
一念凝って自然に立ち向かわなくてはならないと思う
俳句用の眼鏡などはずしてしまって、自分そのもので立ち向かうのである
そして、そこにあらわれる、自然そのものの真実に感合しなくては
ならない。
( 栗田靖著 現代俳句考 先達の言葉より )